京都・宇治に世界が注目する新たな日本の聖地〈ニンテンドーミュージアム〉が誕生。
花札から始まり《Nintendo Switch》まで、百年以上にわたり世代を超えて愛される製品を作り続けてきた任天堂。その数多くの作品に触れながら、娯楽の歴史を知り体験できる場として、宇治小倉工場をリノベーションして誕生したのが〈ニンテンドーミュージアム〉。思い出が蘇る懐かしい製品から、ビッグコントローラーなど独自の体験展示までを揃える新たな聖地の登場だ。 【フォトギャラリーを見る】 日本をはじめ世界中の人々を夢中にさせる娯楽を提供し続けてきた任天堂。その花札やトランプを作ってきた工場をリノベーションしたのが〈ニンテンドーミュージアム〉だ。入り口で発行される入館証には、8ビットのマリオの姿と自分の名前が印字されており、最初から気持ちを盛り上げてくれる。ゲートを潜ると土管にハテナブロック、丘の上にはマリオがゴールポールをのぼる姿も見える。地面のあちこちにもキャラクターが描かれていて、館内に辿り着くまでに何度も足を止める仕掛けがたまらない。 ミュージアムのメインとなるのは第1展示棟。エスカレーターで2階に上がると歴代のゲーム機やゲームソフトがずらりと並ぶ。解説があえて添えられていないのは、自分自身の記憶と体験を思い出しながら、任天堂のものづくりの変遷に触れてほしいとの思いから。遡って《ゲーム&ウオッチ》や、その前の時代に作られていた花札やトランプなどまでが展示され、任天堂の歴史をじっくり振り返れる場となっている。1階は懐かしいゲームを始め、さまざまな遊びが体験できる場。ほかにも、第2展示棟には限定グッズなどが並ぶショップ、そして第3展示棟には特別なアプリを使い、好みの具材を組み合わせたハンバーガーをオーダーできるカフェなどが揃い、任天堂ワールドにどっぷり浸ることができるのだ。
第1展示棟2階にある展示室は、長く娯楽を提供し続けてきた任天堂の歴史が凝縮するアーカイブ。とりわけ注目が集まるのは、《ファミリーコンピュータ》以降に日本で発売されたほぼすべてのゲームソフトが並ぶ展示棚だ。棚はゲーム機ごとに分けられており、上部にはモニターと超指向性スピーカーを設置。ゲームソフトのプレイ映像とともに、かつて遊んだゲームを懐かしく思い出す仕掛けとなっている。 ほかにもファミリーコンピュータを発売する以前から、任天堂が販売していた《ゲーム&ウオッチ》は全種類を展示。《Wii Fit》などのフィットネスが楽しめるゲームへと繋がる進化を遂げてきた体を使った遊び道具、創業時に作っていた花札やビデオゲームを作る前の時代に販売していたトランプやボードゲーム、そしてベビーカーや簡易コピー機《コピラス》など珍しいアイテムまでが並ぶ様子はまさに圧巻。ハードの進化とともに変化を遂げた『スーパーマリオ』シリーズや『ゼルダの伝説』シリーズといったビデオゲームの映像表現を見比べることができるモニター展示など、心くすぐるキュレーションもある。時の経つのを忘れるほど見ごたえのある展示を通して、任天堂がなにものにも変え難い企業であることを改めて実感するに違いない。