「気遣い下手」には絶対にわからない…伝説の作家が「ゴルフ初心者の編集者」にそっと伝えた"大人のひとこと"
■「ギンギラギン方式だぞ」に隠された意味 ちょうど先生の担当になったころ私が結婚したので、よく「奥さん元気か」と聞いてくださいましたね。妻と3人で食事もしました。先生が「呼べるんだったら、呼べば」って言ってくださるので「じゃあ呼びます」と言って。 妻にも「なぜ先生はモテると思う?」って聞いたことがあります(笑)。すると、やはり記憶力なんじゃないかと。記念日とかを憶えていて、とてもマメなんです。彼女はそれに加えて“ギャップ”なのではないかと言っていましたね。無頼派のイメージが強いのに気配りがすごいという、そのギャップが人を惹きつけるのではないかと。 よく先生は「ギンギラギン方式だぞ」とおっしゃっていました。「ギンギラギンにさりげなく」という一見矛盾した要素を兼ね備えているのが先生の魅力だと思います。本のタイトルでも「別れる力」などもそうなのですが、ギャップのある要素を並べるんです。 ■「この間、携帯と間違えてリモコンを持ってきちゃった」 立川談志さんがお好きで、話し方をよく真似していました。その影響なのか、先生は人の悪口は結構言うんですけど、最後は自分を落とすみたいな、キュートなところもあるんです。「最近は高齢化でホテルのロビーにジジイどもが多くて、フロントも混んでいて大変だ」とずっとブツブツ言っているんですが、最後には「この間、携帯と間違えて(ホテルの部屋の)リモコンを持ってきちゃった」とおっしゃって自分を落として笑わせる。 すごく背が高くオーラがある方で、編集部にときどき来られると、みんなの注目を集めるほどでした。迫力はあるんですが、でも、普段は物腰は柔らかく礼儀正しいんです。これもギャップですね。銀座に行くときは必ずジャケットを着ていらして、まず、仕事の話をしている間は相手が若造の私でもデスマス調の敬語になるんです。仕事の話が終わってバーに移動して飲むときは、もう少し砕けた感じになる。その意味ですごくメリハリをつけていらしたのですが、厳密にある時点でパキッと分かれるのではなく、それが自然な感じでそうなるのは不思議でしたね。