スノーボード女子ビッグエアで世界を驚かせた日本“女子最年少”銅メダリスト村瀬心椛と岩渕麗楽が挑んだ超大技
すでにメダルが確定して迎えた3本目は、バックサイドダブルコーク1080に挑んで失敗。 それでも、「本当、夢みたい。ここに来れたのも、みなさんのおかげ。家族とか友達とか、スポンサーの方々とか。私だけでとれたメダルじゃないので、みなさんに感謝しかないです」と悔いはなかった。 さて、元々、期待の高かった女子スロープスタイルとビッグエア。スロープスタイルは最初の競技だったということもあって全体的に硬さが見られたが、ビッグエアでは村瀬が予選2位で通過し、岩渕と鬼塚もそれぞれ3位、5位で順当に決勝へ駒を進めている。 迎えたその決勝では、それぞれがメダルだけではなく、それを超えたところにあるスノーボード本来の価値ーー自分自身を、いかに体現するかーーを追い求めていたよう。それを誰よりも示したのが、左手を骨折した状態で飛んだ岩淵ではなかったか。 岩渕がフロントサイドトリプルコーク1260にトライしたとき、上から見たガッサーは、「震えた」そうだ。「私も、持っているもののすべてをみせよう」 それが彼女にモチベーションを与えてしまったのは皮肉でもあったが、ガッサーは続けた。 「彼女はメダルではなく、(スノーボードの)進化のために飛んだ。もし、安全にいけばメダルだって取れたのに、すべてを出し切った。そのことは、メダルを取ったのと同じように、評価されてほしい」 最後に、バックサイドダブルコーク1260を狙って失敗したものの、銀メダルを獲得したサドフスキシノットも「歴史をライブで見られるなんて。とにかく特別な技。彼女には、早く成功してほしい」と新時代を切り開いた岩渕を称えていた。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)