スノーボード女子ビッグエアで世界を驚かせた日本“女子最年少”銅メダリスト村瀬心椛と岩渕麗楽が挑んだ超大技
今回、それ以上ーー女子ではまだ誰も決めたことのない大技に挑んだのが岩渕である。 回転方向を問わず、ダブルコークコーク1260を決めれば、それが現在のコンテストシーンでは決め手となりうるが、そこにさらに縦回転を加えたフロントサイドトリプルコーク1260を試みたのである。 着地したかに見えた岩渕だったが、直後にバランスを崩して失敗。しかし、異次元の扉を開いた勇気は見るものの心を揺さぶり、岩渕が下まで来ると、同じく決勝に出場し、5位に入った栄格(中国)、6位のメリッサ・ペペルカンプ(オランダ)らが次々と駆け寄り、あっという間に小さな岩渕が見えなくなった。 ここでもタラレバとなってしまうが、決まっていれば、決勝の最高得点はガッサーが3本目に飛んだキャブダブルコーク1260の95.50点だったが、それを上回っていたのではないか。そのことは何より、同じ舞台で戦った他の選手たちが教えてくれた。歓喜の輪が解けた後、選手らが「あれは、すごかったね」と興奮気味に囁き合う声をマイクが拾っていた。 岩渕も、ああいった形で祝福されるとは思っていなかったようで、直後の会見では感極まってしばらく言葉が出なかったが、「悔しい気持ちの方が多いんですけど、一緒に競っていた選手に、こんなに一緒に喜んでもらえて、すごいよかった」と、その表情はまるで、勝者のようだった。 高難度の技への挑戦が続く銅メダルを手にしたのが、予選2位の村瀬。スロープスタイルでも予選を2位で通過したが、決勝では思うような滑りができず10位に沈んだ。 1本目のバックサイドダブルコーク1080は、練習の時から調子が悪かったそうで、着地を決めたもののサイズが小さく80.0点にとどまる。 だが、「フロントはぶっ飛んでグラブつかんで着地するっていうのを意識して、それをやらないと表彰台に乗れない」ーーそんな思いで臨んだ2本目のフロントサイド1080は、「自分でめちゃくちゃ走らせてけっこう飛べた」と自画自賛。決勝の得点としては3番目となる91.5点を叩き出した。