「子育てには、生まれる前からちゃんと準備をして挑んでほしい。準備をしていれば、子育てはもっと楽しめる」子育てがラクになるノウハウを集めた育児本の著者ヨッピーさんインタビュー
子育ては山登りと似ている――。なるほど納得のその理由とは
ヨッピーさんの著書を読んでいると「名言だな」と感じる言葉や表現が、ちょこちょこ出てきます。個人的には「運転と育児も似ている。短時間なら楽勝だけど、ぶっ続けでの運転は疲れちゃう。そんなときに『疲れたでしょ、ウインカー出してあげるね』なんて横から手を伸ばしてこられたら、『いやいや、運転を変わってよ!』って思うでしょ。育児を手伝うっていうのはちょっと手を出すことじゃなくて、その役を変わってあげること」という表現は、言い得て妙だなと思い、思わず付箋を付けた私。そんな名言がいっぱいの著書で、ヨッピーさんがとくに気に入っている言葉を聞いてみました。 「そうですね。僕はやっぱり『育児は山登りと一緒』っていう言葉がすごく気に入っています。僕も子育てをしながら、山登りだなって実感したんで。 山登りって、ちゃんと準備してないとしんどいし、体力がない人がやってもしんどいし、でも登山でしか得られない達成感や充実感もある。けれど、登山をやってない人からしたら、『大変なのになんで山登るの? 』って思っちゃうんですよね。お金もかかるし、時間もかかるし、体力も使うのに、なんでわざわざ山に登るのか、理解してもらえない。 子育ても、準備も体力も必要だし大変だけど、子育てした人にしかわからない達成感や充実感もある。ただ、お金もかかるし、時間もかかるし、体力使うし、その意味が理解できない人がいるところも似ているなと思って。 だからこそ、子どもが生まれる前からちゃんと準備をして、育児に挑んでほしいんですよね。そうすることで、子育てを楽しめると思うんです。」(ヨッピーさん) 子育てには準備が必要――。この言葉もあまり言われていないことかもしれません。もちろん、赤ちゃんを迎えるためのモノはみんな準備するけれど、ヨッピーさんの著書にあったような、家事の圧縮や体力についての準備については、初耳と感じる人も多いでしょう。だからこそ、ヨッピーさんは著書を「できれば、子育てを始める前から読んでほしい」と言います。 「とくに冒頭の『どういう心構えで育児に突入すればいいのか』というところは、これから子育てを始める男性に読んでもらって、危機感を持ってほしいと思います。 こういうことを言うと、『だから男は…』って言われる気もするんですが、やっぱり女性は、とつきとおか、赤ちゃんをおなかで育てて、だんだんと重さを感じて、どんどん実感がわいてきて、お母さんになっていくじゃないですか。でも、男はそうじゃないんですよね。妊娠中って、父親としての心の準備が育っていかないんですよ。 妻は妊娠しているけれど、やっぱり自分の体じゃないし、男からしたら、突然赤ちゃんが出てきたって感じる人が多いんじゃないかな。だからこそ、生まれて1カ月の新生児期、男親が積極的にかかわっていくかどうかで、その後20年の子育てがすごく変わってくるような気がするんですよ。 僕も妻の妊娠中、実感みたいなものがあんまりなかったんですけど、生まれてからの1カ月、新生児期は僕がメインでずっとお世話していたら、とにかくどんどんかわいくなってくるんですよね。 そうやって毎日一緒に過ごしているうちに、愛着みたいなものもわいてくるし、その時期の愛着形成は多分すごく大事な気がしているんです。なんかずっと一緒にいたくもなるし、その後の親子関係もうまくいくような気がするんですよね。 だから、そのトリガーになる新生児期の1カ月はぜひ男性に積極的に育児をしてほしい。そういう意味でも最低でも1カ月は育休を取ってほしいんですよね。1週間でも2週間でも取らないよりはましだけど、人生でいちばん大切な1カ月な気がするので。 女性にとってもいちばん大変な1カ月ですからね、そこは夫として一緒に苦労しないとダメでしょ、と思いますね。社会も男性の育休取得を普及させるために圧力をかけてほしいし、夫は何とか取らなくちゃという意識を持ってほしいですね。 あ、もちろん女性にも読んでもらいたいですよ。そして子どもが生まれる前に頑張って夫にもこの本を読ませて、トリガーになる最初の1カ月間を、夫に育児にコミットしてもらえるように関係性を作ってほしいです。夫婦の片方が効率化するぞって頑張っても、もう片方が理解してなければうまくいかないので、夫婦で読んで、育児のスイッチを一緒に入れてほしいなと思いますね。 子どもが小さいうちって、人生における大トロの部分みたいな、いちばんのメインディッシュだと思うんです。だからね、見ているだけで食べずにいるのはめっちゃもったいないぞっていうのを声を大にして言っていきたいですね」(ヨッピーさん) お話・写真提供/ヨッピーさん 取材・文/酒井有美、たまひよONLINE編集部 まさに目からウロコの新しい育児本の形を見せてくれたヨッピーさん。私も子どもを産む前に読みたかったなと感じました。取材中には「“たまひよ”のイベントにも行ったんです」と“たまちゃん・ひよちゃん”と撮った写真を見せてくれたり、そのワイルドな風貌から想像もしなかった発言が飛び出してきたりして、本当にお子さんがかわいくてたまらないという気持ちと、子育てにしっかり参加している様子を感じました。子育ての新たな価値観を感じさせてくれるヨッピーさんの育児本。悩みのあるママ・パパにも、ぜひ1度読んでみてほしいと思います。