55歳、小6の娘に「性」を話しながら「母としての役割を手放していく」寂しさに直面した。きっとこれが「私の人生で最後に娘に教えること」
パパの「あまりに要点をつかんだ」性の伝え方と、娘の意外な反応とは
気を取り直して、リサに「パパは何を話してくれたの?」と聞いてみました。すると。 人には3大欲求があります。食欲・睡眠欲・性欲です。動物の場合はまた違います、人と動物は違っていて、人間だけが性行為を繁殖とは別に行います。動物や昆虫の世界には避妊するためのピルやコンドームがありません。なぜ人間の世界ではそういうものが作られたのかというと、繁殖以外を目的に行為をするからです。自分たちを守るために薬や道具が生まれました。 完全にこの通りではなく、もっと子どもらしい表現です。そして、どこまでが主人が話したことで、どこからがリサが自分で調べたりしたことなのかはわかりません。しかし我が娘ながら「わかってらっしゃる……」と驚きました。 途中から、これはもう聞くに徹しようと感じました。すると、リサは話しているうちに興が乗ったようで、「動物ってすごいんだよ」と話し始めました。「猫はね、しゅって入ったらぱーんて弾けるんだよ」……そうなんだ?「それを引き出すときに粘膜を傷つけるんだって、だからメスは次そういう行動が起きそうになったとき痛いからやだってなる、複数回できにくいようにできているの。犬はまた違って、すごい長いんだ」。 犬はそういえば狼を改良して作り出した愛玩種だなと思い出して、へーっとリサの話を聞いて、「そういう情報はどこで仕入れたの?」と聞いたら、「え? 学校」。 どうやら、授業の調べ学習のときにみんなで勝手に調べた様子。親としてはちょっと驚きでしたが、ひとまず動物の話からここぞとばかり「人間は子孫を残す目的以外にも性行為をする生き物である、ピルやコンドームなどガード法は生まれたけれど完全ではない、予期せぬ妊娠が起きたとき傷つくのは体も心もやはり女性側なので、女の子は特に自分を守らなくてはならない」と話をしました。しかし、リサは「そんなの知ってるよ」と軽く受け流しました。 本当にことごとく思い通りにならない話でした。我が家の場合は、姉がいるおかげか、リサもちょっと大人びた、思いがけない行動をとるタイプです。私が思う内容を教育するというより、こういう話しができる環境をキープすることのほうが大事だなと、途中で思い切りました。 ただでさえ隠されやすい話ですから、あれしちゃダメ、これしなさいと口うるさく言う親子関係のままでいると、いずれ口を開いてくれなくなるでしょう。なので、とりわけ性の話は、だんだん乗ってきて話してくれている最中にうっかり「やだ気持ち悪い」なんて口走らないよう、「ひたすら聞くに徹する」態度が重要と感じました。 前編記事では性の話の口火を切るまでの経緯を伺いました。後編ではメグミさんが性の話に向き合ってみて「気づいたこと」を教えていただきます。実は、かみ合わないこと、うまくいかなことにそれほど悩まなくてもいいんじゃないかな、とメグミさんは言うのですが、その理由とは。
オトナサローネ編集部 井一美穂