もしもの時、通帳なしで預貯金は引き出せる?「被災直後のお金」にまつわるQ&A
Q 避難所にお金を持っていったほうがいい?
A 必要な分だけ持っていく 避難したときに、住宅に残してきた現金や通帳、キャッシュカードやクレジットカード。盗まれてしまったら、火災が起きて燃えてしまったら……と思うと心配でしょう。 被災後の非常事態では、留守宅でこうしたトラブルも起き得ます。ただ残念ながら、これには打つ手がありません。被災後の留守宅で起きた盗難や火災によるお金の被害は、火災保険などではカバーができないのです。では避難所に持っていけばいいかといえば、プライバシーのない環境で、大金や貴重品を常に持ち歩くのは安全面から避けたほうがいいでしょう。本人確認ができれば銀行でお金は引き出せるので、持ち歩くお金は当面の必要額にしておくのが現実的です。紛失したり、自宅に残してきたりした通帳やキャッシュカードは、取引先の銀行や郵便局に申し出て、支払いをストップしてもらうことができます。クレジットカードも同様、紛失・盗難デスクに連絡すれば、利用をストップできます。 ひところから増えたといわれる「タンス預金」には、災害や盗難で損害を受けるリスクがあるのです。こうした影響をふまえ、平時から置いておく金額を決めましょう。
Q さまざまな支援を受けるために必要なものは?
A 「り災証明書」が欠かせない 自然災害は住宅や家財をはじめ、いろいろなものを私たちから奪い去ってしまいます。そのあとに、私たちがひとりで生活を立て直すのは難しく、さまざまな支えが必要です。そこで被災後は、災害救助法による救助のほか、義援金や被災者生活再建支援金などの現金給付、融資や税の減免といった、いろいろな被災者支援を受けられます。こうした支援を受けるときに欠かせないのが「り災証明書」です。これは、住まいが災害でどの程度被害を受けたのか、市町村長が証明する書類で、支援を受けるための手続きの〝最初の一歩〟となるものです。被災者から市町村へ交付を申請する必要があるので、まずは手続きをしましょう。 被災者から申請を受けると、市町村は住まいの被害を調査します。定められた基準に基づいて、屋根や壁などの被害、住宅の傾斜状況などによる経済的被害が全体のどの程度を占めているかが認定されます。被害程度は深刻な順に「全壊」「大規模半壊」「中規模半壊」「半壊」「準半壊」「半壊に至らない(一部損壊)」に認定され、「り災証明書」にこれが記載されます。被害程度により、どのような被災者支援を受けられるかは変わってきます。 ⚫︎調査によって「全壊」の定義は異なる! 「り災証明書」の調査のほかに、建物の崩壊による二次被害を防ぐ「応急危険度判定」や各保険会社による調査などがあり、それぞれで認定基準が設けられています。