高額療養費制度があっても自己負担額は意外と多い…食事代、入院セット、差額ベッド代…制度の対象外になるものとは?
胃がんで入院した例
女性45歳 胃に不調を覚え内科を受診。医師から総合病院を勧められ、検査の結果胃がんと診断。他の臓器への転移はなかったが、胃の全摘手術を行った。術後の抗がん剤治療も含め15日間の入院となった。9月3日に入院。入院後3日目に手術。手術後2日間ICUでの治療を受けた後、退院まで個室を希望。空きがあり、10日間は個室を利用し9月17日に退院。この女性の高額療養費の適用区分は上記の表区分ウでした。 医療費の総額:2200000円 医療費の自己負担額:2200000円×3割=660000円 高額療養費の自己負担限度額:80100円+(2200000円-267000円)×1%=99430円 上の計算式により、高額療養費を使う前の自己負担額は660000円ですが、高額療養費制度適用により、99430円を超える560570円が支給され、自己負担額は99430円となります。 高額療養費制度の対象外で入院にかかった費用は、以下のとおりです。 食事代:490円×25食=12250円(食事なしの日もあり) 差額ベッド代:6600円×10日=66000円 入院セット:550円×15日=8250円 合計:86500円 医療費にかかる自己負担額と合算すると185930円です。他にも入院となると目に見えない出費がかさむものです。退院後の自宅療養を考えると、収入減も考えられます。健康保険や高額療養費制度は、病気やケガの際、強い味方ではありますが、無料になるわけではありません。ある程度の貯蓄、民間の医療保険などの備えが必要ではないでしょうか。
寺田 紀代子(ファイナンシャルプランナー)