高額療養費制度があっても自己負担額は意外と多い…食事代、入院セット、差額ベッド代…制度の対象外になるものとは?
2. 入院セット
最近では、病衣・タオル・日用品など、レンタル業者を使い、自宅から準備するものを極力少なくし、手軽に入院できるようなシステムを導入している病院が増えています。1日500円程度の費用で、病衣やタオルなどの洗濯が不要になる便利な仕組みですが、この費用も対象外です。1ヵ月だと15000円程度の費用がかかります。
3. 差額ベッド代
個室や少人数の病室利用が治療に必要な場合を除き、個人の申出で特別な病室を希望する場合は差額ベッド代がかかります。病院により差額ベッド代はまちまちで、全国平均で約6600円程度ですが、都心部では1日1万円以上の室料がかかる場合もあります。 体調が悪いときに、同室の人に気を遣うのは精神的にストレスがかかります。空きがあれば差額を払っても個室で過ごしたいと考えるひとは増えています。この差額ベッド代も高額療養費の対象外なので、注意が必要です。
4. 先進医療にかかる費用
先進医療は厚生労働省が認めた先進的な医療ですが、健康保険適用外となりますので技術料は全額自己負担です。この費用も高額療養費の対象外です。先進医療に該当する治療法が、自身の病気に有効だった場合、選択肢のひとつになることもあります。ガンに有効といわれる陽子線治療などは、高額な治療費がかかりますから、万一の場合を想定して、民間の医療保険の特約で備えることをおすすめします。
5. 療養型病院の居住費
療養型病院とは、急性期が終わった後も継続的に治療を続けることが必要となったひとが利用する病院です。入院費や治療費は健康保険の対象ですが、別途居住費がかかり、この費用は高額療養費の対象外です。居住費は難病指定を除き、1日370円と安く設定されていますが、1ヵ月1万円程度の自己負担がかかります。
高額療養費制度を利用しても自己負担は意外にかかる
実際に入院治療した場合、自己負担はどのくらいかかるのでしょうか? 1例をあげて考えてみましょう。 入院治療は短期化の傾向にあるといわれていますが、病気の種類や重さによって長期に渡る場合もあります。厚生労働省「令和5年病院報告」によると、一般病床の平均在院日数は15.7日です。