韓国、生産・消費・投資トリプル減少「内需寒波」
韓国の産業活動を構成する生産・消費・投資が10月は一斉に減少した。5月から5カ月ぶりだ。内需部門では小売り販売と建設業分野に厳寒期が続いている。トランプ次期米大統領の保護貿易主義強化など対外環境も容易でなく、構造的低成長懸念が出ている。それでも韓国政府は「緩やかな景気回復傾向が続いている」という楽観的な立場を固守している。 韓国統計庁が先月29日に発表した「10月の産業活動動向」を見れば先月の民間消費を示す小売り販売は前月比0.4%減少した。衣服など準耐久財が4.1%、食品など非耐久財は0.6%増えたが、家電製品など耐久財販売が5.8%減少した。統計庁のコン・ミスク経済動向統計審議官は「小売り販売は前年同月比にも8カ月連続減少傾向で回復する姿を見せられずにいる」と説明した。 産業生産も2カ月連続減少した。10月の全産業生産は前月比0.3%減少した。特に厳しい環境にある建設業の生産が4%減り産業生産のマイナスを主導した。投資部門でも建設業の不振がみられる。建設業者の工事実績を現わす建設既成指標は土木がマイナス9.5%、建築がマイナス1.9%と実績が減り、前月比4%減少した。10月の設備投資は前月比5.8%減、前年同月比では5.8%増となった。 LG経営研究院のチョ・ヨンム研究委員は「消費回復傾向が微弱で、建設投資は以前よりさらに悪化する流れ」と説明した。10-12月期の始まりから生産・消費・投資が「トリプル減少」したのは来年に続く低成長の予告編という懸念が大きくなっている。韓国銀行は内需不振の影響に言及し、来年の韓国の経済成長見通しを2%と推定される潜在成長率にも満たない1.9%に引き下げた。延世(ヨンセ)大学経済学部のキム・ジョンシク名誉教授は「韓国銀行が基準金利を引き下げはししたが、これまで累積した金利負担から内需は来年も当分回復しにくいだろう」と予想する。 低成長の警告ランプが灯ったが韓国政府の診断は依然として肯定側にウエイトを置く。企画財政部は公式経済診断書グリーンブック11月号で「緩やかな景気回復動向が続いているが、対内外環境変化にともなう不確実性が存在する」とした。国策研究機関の韓国開発研究院(KDI)が昨年12月から「内需鈍化・不振」という評価を堅持しているのとは対照的だ。