【映画『本心』水上恒司さんインタビュー】本心はどこに!? AIは人間の欲望や業、そして心にどんな影響を及ぼすのか?
『愛にイナズマ』などの石井裕也監督作
『茜色に焼かれる』『愛にイナズマ』『月』など、近年ますます旺盛な創作意欲をみなぎらせている石井裕也監督が、またも観る者に鋭く問い、考えさせる映画『本心』を完成させました。主演の池松壮亮さんが、平野啓一郎さんの同名小説の映画化を石井監督に提案したという、その経緯にも強い興味を引かれます。そんな熱のこもった作品の現場で、目覚ましい活躍をみせる水上恒司さんは、どんなことを感じ、何を思ったのか聞いてみました。
●水上恒司(みずかみ・こうし) 1999年生まれ、福岡県出身。ドラマ「中学聖日記」(18)で俳優デビュー。主な映画出演作に『弥生、三月-君を愛した30年-』(20)、『そして、バトンは渡された』(21)、『死刑にいたる病』(22)、『OUT』『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(23)など。主なドラマ出演作に、「MIU404」(20)、大河ドラマ「青天を衝け」(21)、連続テレビ小説「ブギウギ」(23)、ドラマ「ブルーモーメント」(24)など。現在、映画『八犬伝』が公開中。 石井裕也監督のもとに、豪華な俳優陣が揃いました。オファーを受けた時のことを教えてください。 すごく嬉しかったです。僕にとっては、池松さんと妻夫木さんが参加される作品であることも大きな動機でした。特に池松さんとは濃く絡む役どころだったので、一緒にどういうお芝居が出来るだろうと楽しみで。脚本がとても消化不良のような、なんとも言えない感じで終わっていることに対しても、すごく嬉しいと思えたのも(動機として)大きかったです。
映画『本心』ってこんな物語
嵐の晩、川べりに取り残された母親(田中裕子)を見かけた朔也(池松壮亮)は、助けようと川に飛び込み重傷を負い、昏睡状態に。約1年後、目を覚ました朔也は、母が亡くなったこと――しかも生前に母が“自由死”を選択していたことを知る。一方、以前の職場はロボット化の波で閉鎖。激変した周囲の環境に、朔也は衝撃を受ける。戸惑いつつも幼なじみの岸谷(水上恒司)の紹介で、依頼主の代わりにいろんなことを体験・行動する“リアル・アバター”の仕事に就く。理不尽な依頼に振り回される日々を送る朔也は、「VF(ヴァーチャル・フィギュア)」という仮想空間上に人間を作る新技術が実用化されていることを知る。どうしても“母の本心”を知りたい朔也は、開発者の野崎(妻夫木聡)に会いに行き、AI技術を駆使して精密な母親のVFを作るため、母と親交があった三好(三吉彩花)に接触。朔也とVFの母、三好の三人の生活が始まるも、VFは徐々に“知らない母の一面”をさらけ出していく。