【映画『本心』水上恒司さんインタビュー】本心はどこに!? AIは人間の欲望や業、そして心にどんな影響を及ぼすのか?
池松さんも妻夫木さんも石井組の常連ですが、そばで見ていて常連こその響き合っているな、という感覚もありましたか? やっぱり先輩方は素晴らしい対応力、かつ瞬発力をお持ちなんだなと目の当たりにしました。その中に自分が入ってどれだけやれるか、それはある種の試練というか、鍛えられている感覚もあり、それも楽しかったです。もちろん常連組ということに、羨ましい想いはあります。僕はまだ常連と呼べる作品がないので。ただ同時に、自分は今いろんな人とやることが大事な時期でもある気がしています。もちろん、また石井さんに呼ばれたら是非参加したいですが。 池松さんとは、撮影の合間にも色んな話をされましたか? とても気さくな方でした。メッセージの遣り取りでも、意外に絵文字を使いますし(笑)。使わないイメージがありましたが、可愛いニコちゃんマークとか送ってくれるんです。池松さんに“なんか熱苦しい若い奴がいるな”と思ってもらえたらいいな、と思って現場にいました。
色んなメッセージが詰まってる!
色んな要素や色んなメッセージが詰まった作品ですが、水上さんに響いたテーマやメッセージは? 人の本心――自分自身が思ってる本当のことでさえ、人は時として分からなくなったり、自分の声が聞き取れなかったりするものだな、と思いました。本作の中には、芝居をしているような人物もいますし、本当に真意で話す人、色々と仕掛ける人物も、一生懸命に生きている朔也のような人物もいる。世の中ってこういうもんだよな、ってすごく面白く見ました。さらに今後、AIというものが、世界にどういう影響を与えていくか、それが描かれています。僕は、あまりAIを使わないですが……。もちろん、知らず知らずのうちに検索などでAIを使っているのかもしれませんが、僕はあまりAIを必要としていない。AIがない世界で生きていけると思っています。そこに、この仕事は価値があるとも思っています。 完成した映画を観た感想は? 石井さん、こういう風に編集するんだ、と(笑)。まだ冷静に観られない状態で1度だけしか観ていませんが、強いて言うなら、こんな風にもがいてる人間は本当に一杯いるな、と思いました。すごく身近な物語だと思います。本作の中でも、AIを使わなければ、人が何を考えているのか、本当はどう思ってるのかなんて、分かるわけないじゃないですか。でも今の世には、分かった気で決めつけようとする人が大勢いる。だからこそ、本作が人々の心を打つのだと思います。