【#佐藤優のシン世界地図探索72】「民主的」と「人道」の単語を使うコラムニストとコメンテーターは無知
佐藤 ロシアと北朝鮮の関係が日露関係の悪化には直結しません。日露のエネルギー協力は以前と同様に進んでいきます。 ――7月にドイツとスペインが、北海道で航空自衛隊と共同演習を行ないました。それに対して、6月末にロシアが、NATO加盟国との共同訓練に対して抗議しました。これは、真剣に抗議しているのですか? 佐藤 北海道には米軍基地はありません。冷戦時もありませんでした。なぜなら、米軍基地をロシアの近くに置くと、偶発的な衝突が起こりかねないからです。 だから、ロシアから見ると「なんでNATO加盟軍を北海道に連れて来るんだよ」となります。あそこはオホーツク海であって、北大西洋ではないですからね。 ――要はここまでやるのはやめろと、線引きを求めている? 佐藤 その通りです。 ――来年、数百億円をかけた複合型リゾート施設が択捉島(えとろふとう)にできるらしいです。 佐藤 国後島(くなしりとう)、択捉の場合は日本には関係ありません。そこは、日本が安倍政権時代にも返還要求をしなくなったからです。 北方領土と言っても、歯舞群島(はぼまいぐんとう)、色丹島(しこたんとう)なのか、国後・択捉なのか、区別が必要です。 ――国後と択捉はもう、あきらめられている。 佐藤 もし歯舞・色丹にロシアの要人が来るとか、大きなインフラを整備するとなれば、「ここは将来、日本に渡される土地だぞ」「何だって?」と争いの火種になりかねません。 だから、ここはほとんどインフラ整備してないし、歯舞諸島に至っては無人島のままにしていますよね。 ――そうですね。 佐藤 それは、ロシアがいずれ日本に引き渡す可能性があると考えているからなのです。 次回へ続く。次回の配信は2024年8月30日(金)予定です。 取材・文/小峯隆生