【闘病】「ピロリ菌検査を受けて」 胃がんで子育て、仕事真っ盛りの入院・治療生活
30代女性の胃がんは珍しいものではありません。闘病者の川田さんは、胃がんの告知を受けた時、小学1年生と4歳の子どもがいました。 【イラスト解説】「胃がん」になりやすい人の特徴 そんな時期に過ごした闘病生活。子育てが大変な時期に、家族と共に乗り越えた経験や当時の心境などについて、話を聞かせてもらいました。 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年11月取材。
いざ自分がなってみると死がよぎりました
編集部: 病気が判明した経緯について教えてください。 川田さん: 2020年11月に職場の健康診断で、ピロリ菌の陽性が判明し、胃カメラを受けました。また、生検も受けた結果、胃がんが発覚し、その後大学病院を紹介されました。 そこで大腸カメラ、バリウム検査をおこない、術前検査も経て、12月にESD(内視鏡的粘膜下層はく離術)の治療を受けました。 その後の病理結果から、大きさが3cm以上の低分化腺がん(悪性度の高いがん)だと判明したので、消化器外科にて幽門側(ゆうもんそく)胃切除術を受けました。 編集部: どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか? 川田さん: 胃カメラを受けた消化器内科の医師からは、外科的手術をするしかないと言われました。 編集部: 病気が判明したときの心境について教えてください。 川田さん: 医療現場で働いていたので、がんがすぐに命に関わる病気ではないことは知っていました。でも、いざ自分がなってみると、一番に死が頭をよぎり、子どもを残して死にたくないと思いました。
AYA世代のがん患者さんとの交流
編集部: 発症後、生活にどのような変化がありましたか? 川田さん: 自覚症状は特になかったので、生活に変わりはありませんでした。ただ精神的ショックが大きかったです。ネットでひたすら胃がん患者の体験記を探して読みました。 Instagramにも闘病用アカウントを作り、AYA世代(Adolescent and Young Adult/思春期~30代ぐらいの世代)のがん患者さんとの交流を開始しました。 編集部: どのような交流をSNSでされたのですか? 川田さん: とにかく病気に関しての情報がほしかったので、「#胃がん、#幽門側胃切除」などのハッシュタグを使って検索しました。検索することで、同世代に胃がんの方がたくさんいることを知りました。 ほかにも、同じ手術をした方数名にメッセージを送ったこともあります。皆さん親切に術後のことを教えてくださり、不安な気持ちに共感していただき、救われました。 編集部: SNSでつながった仲間が励ましだったんですね 川田さん: そうですね。手術前の不安な気持ちを投稿したときも、励ましのコメントをいただき、前向きな気持ちになれました。先に手術された方が投稿された術後の経過を読んで、「自分も何日後かには元気になれる」と見通しを持てたのもよかったです。 私もほかの方の役立てればと、自分の術後経過も投稿しました。ただ、メッセージをやりとりした方が亡くなられたときは落ち込みました。 編集部: 治療中の心の支えはなんでしたか? 川田さん: 家族です。子どもたちはまだ幼いのですが、入院が長期にわたるため、病気の説明をしました。コロナ禍で、入院中は一度も面会できませんでしたが、夫や両親の助けもあり、子どもたちは学校にもいつもどおり行くことができました。 子どもたちの頑張る姿に励まされ、早く会いたくてリハビリを頑張りました。両親は、がん封じの御守りをいくつも用意してくれました。心配をかけていることを申し訳なく感じ、絶対元気にならなければと思いましたね。