正確なパットのためにたどりついた薬指支点のグリップ イップス…苦境を抜け復活 宮里藍サントリーレディス優勝・大里桃子
【勝者のワザ】 パッティングのイップスに苦しんできた大里桃子が苦境を抜け出して復活優勝を果たした。171センチの長身選手である大里。アップライトな軌道で大きなスイングアークを描くことでキャリーボールでターゲットを狙っていく。フェードボールを駆使したスケールの大きなゴルフスタイルだ。 その大里が、突然のスランプに陥ったのは、パッティングに悩み始めたときからだった。パターを何本も持ち替えたり、グリップも順手からクロスハンド、クロウグリップなど、さまざまな方法を試したが、なかなか読んだラインに乗ってくれない。試行錯誤。それは、大里にとって前進するための道探しというより、ひたすらの迷い道であった。 アドレスで、打ち出したいラインとフェースが直角になるようにパターヘッドをセットアップし、そのフェースアングルを変えないようにストロークするのがパッティングの基本とされる。 大里が好んで使っていたクロウグリップは、右手上からかぶせるように添えて、手のひらを下に向けたまま打ち出したいラインと平行に滑らせるように打つ。ストローク中にフェース向きがぶれないようにするためにはすごく適している。 大里は、この握り方で一時は復活の気配を漂わせたものの、距離に応じたストロークのタッチまでは自分のモノにはできなかった。そこで、もっとグリップの細部にまで踏み込んでいくことになる。 例えばショットの場合、グリップしたどの指を支点にしているのか。一般的に左小指、薬指、中指の3本でしっかり握れといわれるが、特に意識すべきは、3本のうちのどの指なのか。 フェードボールヒッターの大里にとって、小指を支点にすると、フェースローテーションが強くなり過ぎたり、ヘッドのトウ部分が返りすぎて逆球のドローボールになってしまうことがあった。 では、中指を支点にすると―。今度は、ヘッドを走らせるためのローテーションが甘くなり、飛距離が落ちてしまう。ヘッドが返り過ぎず、なおかつインパクトゾーンが長く作れて自分がイメージする弾道のショットを打ち出せるのは〝薬指支点〟にすることだった。 ならば、パッティングも左薬指支点にすればフェース向きがストレートに保たれたままストロークできるのではないか。ようやく答えにたどりつけた。今大会のウイニングパットは、クロスハンドグリップでのバーディーフィニッシュだった。 ちなみに、左小指を支点にして強く握るとテークバックでヘッドがインサイドに動きやすくなる。ここもチェックしてみよう。
■大里桃子(おおさと・ももこ) 1998年8月10日生まれ、25歳。熊本県玉名郡出身。8歳からゴルフを始める。熊本国府高を卒業後、2018年のプロテストに合格。同年の「CATレディース」でツアー初勝利。21年「ほけんの窓口レディース」で2勝目を挙げた。昨季メルセデスランキング86位。QTランク5位。171センチ。