更年期で自分も周りも消耗しないで――産婦人科医が語る、健やかに生きるための更年期対策
なんだかイライラしているように見えたり、調子が悪そうだったりするアラフィフの女性(または男性)に対して、「あの人、更年期だよね」。そうささやく声がある。しかし「更年期」とは何か、正しい知識を持っている人は意外と少ないのではないだろうか。まだ若いから関係ないと思っているあなたも、すでに更年期に突入している可能性が……? 「更年期について知ることは、本人にとっても、そして周りの人にとっても大切なことなのです」。専門医に聞いた「更年期の真実」、そして「今から始められる対策」とは?(撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
更年期はいつ来るのか
「最近食欲がないのに全然体重が減らないの。更年期かしら」 「更年期」という言葉はこんなふうに使われることが多い。しかし、そもそも「更年期」とは体の不調そのものを指す言葉ではない。閉経を挟んだ前後5年、約10年の期間を「更年期」というのだ。 イライラ、ほてり、睡眠障害、太りやすくなることなど、更年期に起こるさまざまな不調は「更年期症状」。その中で“治療が必要な場合”を、「更年期障害」という。 誰にでも必ず更年期は訪れるものだが、閉経の時期は人によって異なる上に、更年期症状が出るかどうかも人それぞれだ。
更年期まっただ中のライターH子(49)と、30代にして更年期症状への不安に怯える編集者M子(35)の2人が、知っておいて損はない更年期についてのさまざまな情報を産婦人科医の高尾美穂さんに聞いた。 ライターH子(以下、H):私は今49歳なんですが、更年期なんですよね? いつ更年期に入ったのか、自分でもよくわからなくて。 高尾医師(以下、高尾):閉経の平均年齢は、50.5歳。更年期は、その前後5年ずつなので、日本人の更年期の平均が45~55歳。だから、それくらいの年齢で不調があったり、生理がバラついたりしていれば、「自分は更年期に入っているな」と当たり前に考えてほしいんですね。 H:生理の周期はバラついていて不調もあります。 高尾:でも更年期のスタートは、結局のところ閉経を迎えてみないとわからないんですよ。例えば2021年の9月に最後の生理があったとします。その後、2022年の9月の時点で生理が来なかったら、2021年9月の時点で閉経だと判断できます。閉経も更年期のスタートも、すべて後付けになるんですね。