ヒョンデi20Nラリー1とヌービルが初めてのWRCドライバーズタイトルを獲得【2024年チャンピオンマシン振り返り】
ヒョンデは2013年にWRCに復帰した。2019年と2020年にはマニュファクチャラーズ王者に輝いた一方で、ドライバーズタイトルは獲得できていなかった。しかし2024年、i20Nラリー1を駆ったティエリー・ヌービルが初めて同選手権を制した。 【写真で見る】2024年のWRCを戦ったヒョンデi20Nラリー1 ラリー界の頂点に位置するFIA世界ラリー選手権(WRC)。2024年シーズンは全13戦で構成され、トヨタ、ヒョンデ、Mスポーツ・フォードの3マニュファクチャラーが覇を競った。 現在のWRCの最高峰カテゴリーであるWRCクラスは、全長4m前後のコンパクトなクルマで争われており、トヨタはヤリス、ヒョンデはi20N、Mスポーツ・フォードは小型SUVのプーマをベースにラリーカーを製作している。 WRCは2022年、それまでのWRカー規定に代わり、ラリー1規定を導入した。ラリー1では市販車のモノコックに加え、パイプフレームでシャシーを製作することが認められている。 ヒョンデとヌービルの双方にとって初のドライバーズタイトルをもたらしたi20Nもパイプフレームを採用。ボディワークは鉄のほか、カーボンファイバーパネルで構成されている。サスペンションは前後ともマクファーソンストラット式だ。 エンジンはレギュレーションに基づき、1.6L直列4気筒ターボを搭載。36mmのエアリストリクターにより出力は抑えられるものの、ヒョンデによると最高出力380HP/6500rpm、最大トルク450Nm/5500rpmを発揮する。また、共通のプラグインハイブリッドユニットと組み合わせることで、瞬間的に500HP以上のパワーが生み出される。 ちなみにこの1.6L直4ターボエンジンは、ヒョンデ傘下のブランドであるジェネシスがLMDhマシンに搭載するV8エンジンのベースとする方針を示している。 2024年型i20Nラリー1は信頼性と車重の2点に焦点を当てて改良が加えられた。同年の勝利数では5勝にとどまったものの、ヒョンデ陣営で戦うヌービルとオィット・タナックが最終戦ラリー・ジャパンまでタイトルを展開。最終的にはヌービルが自身とヒョンデとして初となるドライバーズタイトルを獲得した。また、マニュファクチャラーズ選手権においても、最後の最後までトヨタと争う活躍を見せた。 結局、メーカー初の三冠はならなかったものの、i20Nラリー1は2024年に高い戦闘力を持っていることを示した。
MotorFan編集部