重要度が高まるEC物流の「差別化」「業務フロー改善」「コスト圧縮」などにつながるAI活用とは【EC荷主と3PLの最新意識調査】
米ペンシルベニア州立大学の教授が指揮を執った最新調査では、EC利用者の需要に対応するために荷主と物流企業が展開する戦略などを調査しました。その結果によると、ECの荷主や3PL事業者は、AIの活用とマネジメントの改善が業務効率につながると考えています。顧客サービスの向上、配送ルートの最適化、注文・在庫管理といったさまざまな面で利点があるためです。調査結果を詳しく解説します。
AI活用とマネジメント改善によるEC物流への好影響
注文処理、配送スピード、購入スキームの透明性に対するEC利用者の期待が高まる環境下で実施された「2025年 サードパーティロジスティクス調査」によると、荷主事業者とサードパーティロジスティクス(3PL)プロバイダーは、顧客満足度を向上させるため、AI活用とマネジメントの改善を強化しようとしていることがわかりました。
29回目の調査「サードパーティロジスティクス調査」の陣頭指揮を執ったのは、ペンシルベニア州立大学のスミールビジネスカレッジで、サプライチェーンと情報システムを教えるC.ジョン・ラングレー教授。サプライチェーンのコンサルティング業およびAIテクノロジーに強みを持つNTT データ、3PL事業者であるペンスキー・ロジスティクスと共同で調査を実施しました。
■ 高いROIを期待 荷主事業者の40%、3PLの37%は、AIを活用したサービスの改善によって、より大きなROI(投資利益率)が得られると期待しています。 荷主事業者とそのロジスティクスプロバイダーは、EC荷主向けのフルフィルメントと配送サービスのスピード、精度を向上させることが、最も高い投資収益率につながると認識しているのです。その戦略のベースになっているのは、AI活用とマネジメントの改善です。 ■ コスト増、市況変化に対応するための改善施策 ラングレー教授は「荷主と3PLサービスのプロバイダーは、良好な関係を維持していますが、ますます幅広い課題に対処しなければならなくなっています」と指摘しています。 ┌────────── 荷主と3PLが対処するべき課題には、コスト感の懸念、配送に関連する地政学的な懸念、サプライチェーンサービスの市場の変化などがあげられます。こうした状況のなか、AI、エンドユーザーとの距離が近いDtoCビジネスの台頭といった、新しい技術やサービスを活用するために、マネジメントの改善が進められています。(ラングレー教授) └──────────