【#佐藤優のシン世界地図探索83】石破首相の路線と戦略は間違いない!?
佐藤 もし、自民立憲党として野田政権になった場合、継続性を重視した安全運転になるでしょうね。そして石破政権はほとんどないに等しいので、岸田政権の路線を踏襲すると思います。 ――何だか難しそうな......。 佐藤 安倍派の影響力を継いだ岸田政権でしたが、その安倍派の影響力はすでに削げてしまいました。 ――安倍派はほとんど全滅状態であります。 佐藤 そういう状態ですよね。 ――すると、野田政権になっても日米同盟は存続するんですか? 佐藤 そこは変わりません。いま日本ができる内政、外政上の閾値が非常に狭い状況です。だから、誰が首相になっても大きく変わりません。 それは投票率が低い理由と一緒です。国民はそれが分かっているから、どうなってももう変ることはないと思っています。 ――いまの日本が分かってきました。 佐藤 それは裏返せば、日本の政治が相対的に安定しているということなのです。 ――今回の選挙は激変ではなかったのですか? 佐藤 いえ、「お灸をすえる」感じですかね。 ――で、少数与党の自公政権は変容するのでありますか? 佐藤 まず、政治文化を変えないといけません。ひとつひとつの事を丁寧に、野党と立民、特に国民と合意を得ることが大事になってきます。そして、国民のコンセンサスに近い所で、政策を作っていく、と言うやり方に変える必要があります。 安倍さんは争点を作って、侃々諤々(かんかんがくがく)で議論して、力で押し切っていく形でした。そして岸田さんは後ろでコソコソやるという感じです。 だから、これからは国会で堂々と議論しながら、コンセンサスを作っていかないとですね。今後は、そうせざるを得なくなります。 ――丁寧な国民目線から次の政策を作っていく。 佐藤 そうせざるを得ないんですよ。そうしないと、さらに追い込まれます。 ――石破首相にそれができますか? 佐藤 石破さんだったら、その辺りのことは出来るんじゃないですか。 次回へ続く。次回の配信は2024年11月15日(金)予定です。 取材・文/小峯隆生