バスケ「3x3」で宇都宮市の経済効果が約20億円! プロ選手が高齢者と体力づくりなど市民巻き込むスポーツまちづくりがスゴすぎる
バスケに興味がない市民も巻き込む会場づくり
「宇都宮市の歴史や文化が感じられる会場で開催したい」。これがFIBAからの要望だった。FIBAとやり取りを重ねながら、宇都宮らしい先進的なことにチャレンジしようと会場に選んだのは、市の中心部に位置する宇都宮二荒山神社の階段を降りた広場。巨大な鳥居を背景とした「3×3」の特設会場は日本らしい神秘的な景観で迫力満点。FIBAや国内外からの評価も高かった。 千人以上が観戦できる会場のコートの前席は一部有料だが、8割が無料席。「街のブランド力向上、活性化、経済効果など、開催費を交付金で負担しても、それ以上の効果があると捉えています。市の交付金により開催費の一部を負担しているので、多くの市民に観てもらいたいという目的で無料席を用意しました」(杉山さん)
さらに、通常なら一般人が目にすることができない選手のウォーミングアップエリアを、商業施設が並ぶ公道に設置。交通規制をかけ、観客が飲食ブースで購入したものを食べながら、選手がプレーする姿を間近で見られるようにした。会場に入れなくてもプロのプレーが楽しめるという情報が広がり、まちなかに人が集まってきた。 また、宇都宮駅東口の商業施設「ウツノミヤテラス」前の広場にパブリックビューイング会場を設置し、偶然通りかかった通勤住民や買い物客が足を止めて観戦できる環境も整えた。「街のにぎわいを創出し、『3x3』の認知度を上げる効果もあったと思います」(杉山さん)
地道に説明し続け、商店や住民の協力を得た
「まちなかスポーツ」の開催は、多くの地元の方々の理解と協力なしでは実現できなかったと、杉山さんは振り返る。「本来なら、本殿へと続く神様の通り道である神聖な参道でイベントは開催できませんが、宇都宮二荒山神社にご相談したところ、『神社の門前は、古くから人々が多く集まって賑わいをもたらしてきた場所。今回も賑わいをもたらす場として協力したい』と特別に許可をいただきました」 道路の交通規制における警察との連携はもちろん、地元の住民に協力を仰ぐ説明などは、地道に行った。ウォーミングアップエリアを設置した道路に並ぶ店舗や、夜中の9時ごろまで大音量の音楽を流して開催されることから、近隣のマンション住民にも説明して理解を得てから実施につなげた。 街の飲食店も一緒に盛り上げる施策も実施。「会場周辺の飲食店を1店舗ずつ回って協力を仰ぎ、大会限定のオリジナルメニューや限定割引メニューなどをつくっていただいき、大会のパンフレットやホームページなどに掲載して紹介しました。今年は28店舗にご協力いただきました」(同市スポーツ戦略室主任主事の高橋聖矢さん)
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