バスケ「3x3」で宇都宮市の経済効果が約20億円! プロ選手が高齢者と体力づくりなど市民巻き込むスポーツまちづくりがスゴすぎる
栃木県宇都宮市といえば名物の餃子、だけではない。プロスポーツチームが続々と拠点にし、3人制のバスケットボール「3x3(スリーエックススリー)」の世界大会がまちなかで開催されるなど、スポーツを通じた街の活性化が注目されている。同市はどのようにプロスポーツと協業し、「街の活性化」へとつなげているのか。また、プロスポーツチームの継続や経営にはどう影響しているのか、宇都宮市役所やプロスポーツチームの担当者に話を聞いた。
宇都宮市には、日本人初のNBA(米プロバスケット協会)プレーヤーの田臥勇太(たぶせ・ゆうた)選手が所属するプロバスケットボールチームB1の宇都宮ブレックスのほか、自転車ロードレースチームの宇都宮ブリッツェン、県営の栃木県グリーンスタジアムを拠点とするサッカーJリーグの栃木SCなどが活動。さらに9月末に、ラグビー・リーグワンの三重ホンダヒートが、2026年に始まるシーズンより拠点を三重県鈴鹿市から栃木県宇都宮市に移すと発表したばかり。そんななかで同市は、2020年の東京五輪から採用された3人制のバスケットボール「3x3(スリーエックススリー)」を活用したまちづくりにも力を入れている。 「3x3」とは、1チーム3人で行われるストリートバスケに国際バスケットボール連盟(FIBA)がルールを設定した競技。コートの広さは5人制の約半分で、試合時間は10分。選手の素早いドリブルや目まぐるしい攻防が醍醐味で熱狂的なファンも多く、2016年から、FIBAが主催する「3x3」のワールドツアー(国際大会)を誘致し、宇都宮市で開催して話題となった。
「誘致のきっかけは、2015年に宇都宮ブレックスが3人制チームを結成したことも踏まえ、国内の開催権を持つスポーツ用品店の運営などを担うゼビオグループのクロススポーツマーケティング株式会社に対して『3x3のワールドツアー(国際大会)の宇都宮市での開催について』話をして、2016年の開催に至りました。コロナ禍の2年間は中止しましたが、熱狂的なファンはもちろん、子ども連れのファミリー層から高齢者まで多くの人が訪れて街ににぎわいが生まれました。宇都宮ブレックスの3x3チーム、UTSUNOMIYA BREX.EXEも何度も日本一に輝いている。バスケを始めとしたスポーツは宇都宮市のブランド力の強化につながると確信し、大規模なスポーツイベントの『まちなか開催』を継続しています」と話すのは、宇都宮市魅力創造部スポーツ戦略室室長の杉山敬宏(すぎやま・たかひろ)さんだ。 4月末に開かれ、3年目を迎えた今年の「3x3」のワールドツアーの開幕戦「宇都宮オープナー」には、国内外から約8万人の来場者が訪れた。経済効果は8億円超。2016年の初開催は1億9600万円なので4倍以上増加したことになる。また、5月初めにはパリ五輪の「3x3」予選大会も開催され、来場者は約7万8000人。この2つを合わせた広告効果を含む経済効果は約20億円に及ぶ。五輪イヤーの影響もあるが、FIBAがワールドツアーや五輪予選に関するオフィシャル動画をSNSなどで積極的に発信したことも影響し、その拡散力によりFIBA3x3の公式SNSのフォロワー数が飛躍的に伸びて、市の認知度や街のブランド力も向上したという。それ以上に大きかった成功要因は、宇都宮市がこだわった前述の「まちなかでの開催」だ。
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