広いキッチンはもう古い? トレンドのスモールキッチンを作るコツ
インテリアとリサイクル会社Retrouviusの創設者であるマリア・スピークは、多くの家が理想とするキッチンについて、イギリスのシェフの名を借りて“ジェイミー・オリバー現象”と呼んでいる。 これは、料理人が大きなキッチンカウンターの後ろで料理を作り、皆にふるまっているような、まるで料理ショーのようなキッチンを指す。これは最近数十年にわたって、多くの人の夢であった。しかし、スピークは、このような派手なキッチンから、もっとシンプルな小さなキッチンへと人気が移りつつあることに気づいた。経済的な理由だけでなく、ライフスタイルの変化も影響して、小さなキッチンを選ぶ人が増えている。たとえば、在宅ワークをするスペースを確保したい、または、料理をする時間が少ないから、大きなキッチンは必要ない、といった理由だ。インテリアデザイナーのマリアンヌ・エヴェヌーは、「小さなキッチンだからといって、魅力がないわけではありません。小さなスペースでも、素敵なキッチンを作ることができます」と、話す。UK版「エル・デコ」より。
スピークにとって、小さなキッチンの魅力に気づいたのは、グラスゴーにある最初のアパートで、夫でありビジネスパートナーであるアダム・ヒルと暮らしていた時だった。 「ドアがとても狭くて人があまり入ってこなかったんです。料理をしている時に、誰かに邪魔されたくないって、誰しもが思うことですよね。だから、小さなキッチンは、料理に集中できるプライベートな空間として、とても気に入っていたんです」と、彼女は振り返る。 スピークはその経験から、料理をする時は誰にも邪魔されずに集中したいと思うようになった。そこで、今の家に引っ越した時に、キッチンを改装して、以前は洋服を置いていた部屋をキッチンにしたのだ。小さい子どもがいる家庭では、キッチンで子どもたちの様子を見ながら料理できるオープンキッチンが便利だけれど、子どもが大きくなると、一人でゆっくり料理を楽しめるような、少し隠れ家のようなキッチンが欲しくなるもの。スピークもそう思い、細長い形の両側に作業台があるガレー型のキッチンにした。 <写真>Retrouviusの共同設立者、マリア・スピークのキッチンには、リサイクルした食器棚と真鍮のディテールが映える。