なぜモチベーションが続かないのか?研究でわかった、やる気を保つ「5つのテクニック」
4. 待つ決断は、早く行なう
「6カ月以内に120ドルをもらう」か、「今すぐ100ドルをもらう」という2つの選択肢を示されたとしましょう。あなたならどちらを選びますか? それでは、「1年半以内に120ドル」と「1年以内に100ドル」だったら、どうでしょうか? おそらく、最初のケースでは「今すぐ100ドル」を選ぶけれども、2番目の場合は「1年半以内に120ドル」を選ぶ人が多いのではないでしょうか。 どちらのケースでも、6カ月待てば20ドル余計にもらえることに変わりはありません。でも人は、時期が近い時は、額が小さくてもすぐにもらえるほうを選び、先の話の場合は、もらえるのが遅くなるけれども額が多いほうを選びがちです。 いま挙げた例は、忍耐力を養うための、ある戦略を示しています。つまり、「待つ」という決断を、早く行なう、ということです。 この「早めの決断テクニック」に照らし合わせると、「早くもらえるが額が少ない」ものと「もらえるのは遅いが、額は多い」ものの間で選択する場合、早い時点で決断を下すほうが、忍耐力が発揮されやすくなります。どちらも先の話に感じられるからです。 1カ月間待てば、より良い製品が発売されたり、価格がお得になったりするとしましょう。こうした「待つ時間」については、今すぐ起こるより、1年後に起こるほうが、待つことを受け入れやすくなります。 人の時間の感覚は直線的ではなく、「今と来月の間の時間」は、「1年後と1年1カ月後の時間」よりも長く感じられるのです。 実は、これは人に限った話ではありません。 ハトも、早めに決めておくことのメリットを知っています。 ハトを対象にしたある研究では、少ないけれどもすぐもらえる報酬(あるキーをつつくと、すぐに2秒間だけエサが食べられる)と、量が多いが待たされる報酬(別のキーをつつくと、4秒間の間があったのちに、4秒間エサを食べられる)という2つの選択肢を与えました。 すると、ハトは4秒間が待てず、今すぐもらえる報酬を選びました。 ところが、両方の選択肢について、エサを食べられるまでの時間をそれぞれ10秒ずつ延ばしたところ(つまり、片方は10秒、もう一方は14秒待つことになったわけです)、「待たされるが、たくさんの報酬が得られるキー」のほうをより多く押すようになったそうです。 つまり、ハトは「より多くのエサがもらえるのと引き換えに、さらに4秒待ちますか?」という問いへの答えを、ノーからイエスに変えたわけです。 人も、この原則を使って、忍耐力を高めることができます。 やるべきことは簡単です。「量は少ないけれどもすぐに報酬を手にできる選択肢」が生じる前に、より有利な選択肢を待てるよう、時間を長く設定するようにすれば良いのです。