センバツ高校野球 八戸光星、初戦突破 終盤に打線奮起 /青森
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)は18日開幕し、5年ぶり11回目出場の八戸学院光星(青森)は第1試合で関東一(東京)と対戦。2度リードを奪われながらも追いつき、タイブレークの延長十一回に勝ち越して、5―3で接戦を制した。2回戦は大会第6日の23日、第2試合(午前11時半開始予定)で星稜(石川)と対戦する。開会式では、東北勢の青森山田と学法石川(福島)も元気に行進。青森山田の橋場公祐主将が、出場32校を代表して選手宣誓の大役を務めた。【藤倉聡子、塚本紘平】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 無死一、二塁から始めるタイブレーク2イニング目の延長十一回、竹田智紀が送りバントを決めて1死二、三塁。打席は「4番」の萩原涼太にまわった。九回に安打で出塁した4番・山本優大に代走・岡本大地が送られたため、その裏の守備から出場していた。これが、甲子園初打席だ。 昨秋の公式戦でも安打はなく、この冬は「ミート力を上げるため、振り込んだ」という。2球をしっかり見てカウント1―1。低めの速球を振り切って右前を襲い、走者を迎え入れる。さらに敵失などで2点を加え、勝利をつかんだ。 前半は両チーム先発が互いに譲らぬ投手戦。昨夏8強の原動力となった大黒柱の洗平比呂が五回に1点を先行される中、終盤に打線が奮起した。七回2死満塁で、代打は小笠原由宇。2球目のチェンジアップにタイミングが合わず、バランスを崩して膝をつく。これを次の1球に生かした。体の開きを意識してしっかり球を捉え、右前適時打とした。 八回に再び勝ち越されるも、九回は山本の安打を足掛かりに走者を進め、三上祥司の犠飛で同点。打線の粘りに、投手陣も応えた。 九回裏を0点に抑えた洗平に替わって、延長十回に岡本琉奨が登板。味方の表の攻撃は0点に終わったが、勢いのある速球を武器に流れを渡さない。犠打と申告敬遠で1死満塁の場面は遊撃へのゴロに詰まらせ、これを竹田が素早く裁いて本塁で封殺した。次打者を高めの速球で空振り三振に仕留めると、岡本は味方を鼓舞するように全速力でベンチへ。果敢な守りからリズムが生まれ、十一回の3点につながった。 「比呂が粘ってくれたから、絶対に勝ちたかった」と岡本。エース頼みの観もあったチームが、一皮むけた「チーム一丸」で初戦を突破した。 ◇演奏で応援けん引 ○…一塁側アルプス席では、八戸学院光星の吹奏楽部員29人が、軽快な演奏で選手を後押し。バスで前日の午前11時半に出発し、この日の早朝に関西入りという長旅だったが、元気にスタンドの応援をけん引した。部長の松橋未来さん(17)は「選手たちが日々練習し、勉強も頑張っている姿を見ている。笑顔で粘り強いプレーを見せてほしい」とエールを送った。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇チーム一つになれた 八戸学院光星 砂子田陽士主将(3年) タイブレークの延長十回、代打・今西優斗が見事バントを決めて1死二、三塁。チャンスの打席で、ワンバウンドになる鋭いフォークにバットが空を切った。この試合は5打数1安打。自身は得点機をものにできなかったが、「チームが一つになれた」と、もぎ取った勝利を晴れ晴れとした顔で喜んだ。 野手ではただ一人、8強入りした昨夏の甲子園を経験した。その後、新チームの主将として大切にしてきたのは、2、3年生だけで90人に及ぶ部員が「同じ方向を目指していること」。この日は、ベンチ入りメンバー以外の部員たちに感謝しきりだ。「劣勢の場面では全力で声援を送り、得点すれば全力で喜んでくれた。それが、本当に力になった」 七回は代打・小笠原由宇が同点打、延長十一回には九回の守備から入った萩原涼太が勝ち越し打と、途中出場の選手の活躍も光った。「先発も、後から出る選手も、気持ちを一つにして1点を取ることに向かって行けた」と実感している。もちろん、打線を引っ張る1番打者としては、得点に絡めなかった悔しさも。「次は、打席でチームに貢献する」と2回戦を見据えた。【藤倉聡子】