改めて考える、“MBTI診断”ブームの行方~なぜ知りたくなるのか?キャリアに介入させる是非とは?~
コミュニケーションツールとしてのMBTI
Q:友人同士など、日常生活の会話の中でもMBTIに言及することはありますか? Oさん:他人に自分の性格を分かってもらいたい時に使えると思っています。例えば、僕は飲み会とか大人数の場が好きではないのですが、「I(内向的)NFPだから」と言えば相手が理解してくれやすくなるんですよね。堂々と言い訳に使えるというか(笑)。 Hさん:確かに、自己紹介などの場面でも簡単に自分を説明できますよね。アイスブレイクで使うには良いツールだなと思います。私は大学のサークルの自己紹介コンテンツで今年からMBTIの項目が加わりました。 Kさん:この前、久しぶりに会う仲間との飲み会でネタが無くなった時に話題に上がりました。お互いのMBTIを知るとその後の会話も盛り上がるし、議論が起きそうな話題でも、「MBTIの違いだね」で丸く収まることもありますね。
Q:MBTIは自己理解のためだけでなく、コミュニケーションツールとしても日常生活に溶け込んでいるようですね。MBTI診断がこれほどまでにZ世代に受け入れられていることについて、大美賀さんはどのように考えていますか? 大美賀さん:Z世代によく見られる、何かを判断する際の“タイパ意識”にMBTI診断がハマったのだと思います。本来であれば、相手を全人的存在(※2)として捉え、いろいろ質問したり一緒に行動したりしながら相手のことを理解していくものです。一方、MBTIは、相手のタイプを聞くだけでなんとなく相手のことを理解した気になれてしまいます。“認知的節約”になるんですよね。しかしMBTIを絶対的な判断材料として、「自分はこのタイプだから」「あの人はこのタイプだから」と決めつけてしまうのはとても危険なことです。人間には「確証バイアス」というものがあり、都合の良い情報だけを信じようとする傾向があります。一度MBTIを知ってしまうと、「やっぱりあの人はMBTIが○○だから」と考えてしまうことがあるため、人間はバイアスがかかりやすいんだという自覚を持って、MBTIと向き合う必要があるのではないでしょうか。