「他人に仕事を任せられずに抱え込んでしまう人」への2つのアドバイス
放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出した・桝本壮志のコラム。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【写真】令和ロマンに学ぶ、大人を「ホメとムチ(無知)」で手なずける技術
せっかくの年末年始、休息して英気を養いたいけど、眼前には仕事の山。そんな方にピッタリの相談がきました。 「人に任せるより自分でやったほうが早い! という思いから、部下に仕事を振らず、何から何まで仕事を抱え込んだ結果、いつもキャパオーバーになってしまいます。私のやりかたは間違っているんでしょうか?」 会議資料、企画書、顧客対応など、部下に任したほうがいいと分かってはいるけど、微妙なニュアンスをいちいち伝えるのは七面倒だし、文章力やトークが信用できない……。同じような悩みを抱えているリーダーは多いですよね? そこで今回は、根っからの「自分でやりたい病」であり、年間1000を超える締め切りをこなしてきた僕が、「他人に仕事を任せられずに抱え込んでしまう人」たちと、頭のストレッチをしてみたいと思います。
「頼めない」のでなく「頼める言葉」を持っていないかも
まず、他者に仕事を任せず、自分一人で仕事を成立、成功させてきたあなたは優秀なビジネスパーソン。頼もしい職人肌です。 10代で芸能界に入った僕も、全ての仕事を一人でこなすフリーランスの放送作家として40代までやってきて、「後輩を育てる必要はないし、センスの世界だから、教えても伝わるはずがないだろう」と考えてきました。 しかし数年前、作家やディレクターを目指す人たちの学校で「講師をやってほしい」と言われ、まあ、どうにかなるだろう。と軽い気持ちで引き受けたのですが、いざ壇上に立つと、とくに教えることがない。課題を出そうにも伝える言葉が見当たらない……。 そう、「教えても伝わるはずがないだろう」は思い込みで、僕自身が“伝える言葉を持っていなかった”のです。 「人に任せるより自分でやったほうが早い」と考えている人は、自分の仕事のやりかたを言語化できていますか? 呑み込みの悪い部下にイライラしていたけど、あなたが曖昧な伝えかたになっていませんでしたか? もしそれで仕事を抱え込み、キャパオーバ―になっているのなら変革のとき。 部下に「頼めない」のではなく「頼める言葉を持っていない自分」に気づく時期なのかもしれません。 ちなみに僕の周りにいる、一流と呼ばれているヒットメーカーは、伝えるのが面倒な「センス」「感覚」「メソッド」といった領域の言語化がとてもうまい。 言い換えると、自分の仕事の効率を上げるために“わずらわしい指導や育成から逃げていない人”とも言えるんですね。