「他人に仕事を任せられずに抱え込んでしまう人」への2つのアドバイス
「任せてみる」と、新たな仕事を「任せてもらえる」
後進を育てる講師になると、おのずと卒業生から「企画を見てほしい」「アドバイスがほしい」と言われるようになりました。 最初は、「同じ作家の人生を背負うのはまっぴら御免だ」と考えていたのですが、前述した「わずらわしい育成から逃げていないトップランナー」たちの姿が浮かび、僕のアイデアを企画書にしてもらう育成やミーティングに時間を割くようにしました。 すると、これまで膨大な時間を費やしていた作業が減り、そのぶん新たなアイデアを生む余白が生まれ、今では以前にくらべて約4倍の企画が通過、番組化されるようになったのです。おかげで数人の教え子が作家デビューもしています。 また僕は、以前は一人で決めていた吉本NSCの「若手芸人たちの評価」も、一緒に授業を運営しているスタッフやアシスタントに分散。査定の一部をチームに委ねてみることにしました。 すると、これも好転。運営チームの間で「僕らも評価者なんだ。真剣に見よう。向き合おう」という感情が芽生え、授業のムードがグッと良くなり、やがてそれは生徒たちに伝播し、ネタのクオリティがぐんぐん上がっていったのです。 そんな自己変革をしていくうちに、テレビ番組や出版社から「育成法を聞かせてほしい」というオファーが来るようになりました。 その一つが、いま読んで下さっている本コラムの仕事です。そう、仕事を「任せてみる」と、新たな仕事を「任せてもらえる」こともあるということなんですね。 新しい年の始まりは、新しい自分を始める好機。今年も一緒に考え、一緒に悩んでいけたら幸いです。 ではまた来週、別のテーマでお逢いしましょう。 桝本 壮志/Soushi Masumoto 1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出。
COMPOSITION=古澤誠一郎 TEXT=桝本壮志