昔なら「裏切り者」? 転職先からカムバック 迎え入れる企業 #令和に働く
▽アルムナイは一番身近な社外のファン
共同通信が2024年3~4月に実施した主要企業118社への採用アンケートでは、71%に当たる84社がアルムナイを再び雇用する制度や仕組みを導入していると回答した。人手不足で人材獲得が厳しさを増す中、社外で経験を積んだアルムナイは貴重な即戦力だ。企業文化になじみがあり、育成の労力が少なくて済むことも導入を後押しする。
退職者とのつながりを強化する方法として、専用サイト「アルムナイネットワーク」の創設も盛んだ。在籍時の社員番号などを入力すると、最新の採用情報を確認できる。 みずほフィナンシャルグループはこのネットワークの運用を2020年から始め、現在の登録者は約1400人だ。アルムナイと現役社員の交流会も定期開催している。再雇用だけでなく、情報交換や新規ビジネスの獲得につなげる狙いがある。 かつて退職者は裏切り者との扱いを受けることが多かった。新卒入社から費用をかけて一人前に育て上げたのに途中で辞めやがって、という思いが強かったためだ。しかし、人材の流動性が高まった今、業務内容を理解したアルムナイは無視できない存在となった。共同通信の採用アンケートでは制度の導入を検討中の企業は17社(14%)あり、今後も拡大は続きそうだ。 企業向けにアルムナイネットワークを手がける新興企業ハッカズーク(東京)の鈴木仁志社長は「アルムナイは一番身近な社外のファンになり得る。転職経験のある社員が増え、企業の意識も変わってきた」と話している。 ※この記事は、共同通信とYahoo!ニュースによる共同連携企画です。