京都ハンナリーズ、渡邉GMが描く勝負の3シーズン目(前編)「面白い試合をして若手が躍動することが昨季の京都には大事だった」
「若手が昨シーズンの経験を持っていなければチームは簡単に崩れてしまう」
昨オフに岡田侑大ら有力選手を補強し、開幕前は西地区の台風の目になると予想されていた京都ハンナリーズだったが、勝ち星を伸ばすことなく17勝43敗、西地区最下位でシーズンを終えた。日本人選手全員が20代というリーグ1若いロスターで戦った昨シーズンを渡邉拓馬GMはどのように総括しているか。 ――まずは昨シーズンの振り返りをお願いします。 岡田侑大選手と前田悟選手を獲得し、外国籍選手を入れ替えた時点で、ディフェンスでトラブルが生じて我慢の試合が多くなるイメージは少なからず持っていました。シーズン序盤から、対戦相手や関係者の方に「良い補強をしたね」とは言われましたが、そんなにうまくはいかないよなとも思っていました。それでもベテラン選手を獲得しなかったのは、ロイ・ラナヘッドコーチとともに優れた若手を育てていきたいという狙いがあったからです。岡田選手や前田選手、澁田怜音選手、小西聖也選手らに、試合の中で多く経験を重ねてもらうことが一番重要だと考えていました。 ――結果はある程度予測していたということでしょうか? 予想外なこともたくさんありましたけど、昨シーズンの経験が今後の彼らのキャリアに生かされるだろうと思います。CJ(チャールズ・ジャクソン)やKJ(ケビン・ジョーンズ)も他の選手と同じで、特にKJは「今までこんなにリーダーシップをとってプレーしたことがない」と言っていました。そういう経験はサンロッカーズ渋谷に移籍した今シーズン以降も、彼の人生に生かされていくと思います。 結果は出ていませんが、選手たちはコーチと話し合いながら、もがきながら、なんとか勝とうとしていました。勝負を投げ出すことなく、なんとか「京都のために」「チームのために」とみんなでやり切ろうとしている姿を目の前で見てきました。そういったことが経験できるチームやシーズンは多くはないと思います。負けているけど試合的には面白い試合も多く、それがお客さんの数に反映されていたと感じています。プロなので結果を出さなければ一般的な意味での評価は得られないかもしれませんが、面白い試合をして、若手が躍動することが今の京都には大事だと思っていました。そういった意味では進んでいる方向は間違っていないかなと感じました。 ――「ベテラン選手が不在のチームだからこそ、若手が育つ」という渡邉GMの思いがある程度達成できたということですね。 今シーズンはベテランが入って練習の雰囲気が全然違いますし、やはりバスケットというスポーツは経験のスポーツだというのあらためて感じています。ただ、仮にベテランがケガをしてしまったとして、若手たちが昨シーズンの経験を持っていなければチームは簡単に崩れてしまうでしょう。選手はもちろん、その後の人生を考えた時にもそういう経験は生かされるだろうなと思いますし、私もそういう経験をしてきたので、それが彼らのキャラクターの軸になるだろうと考えています。
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