京都ハンナリーズ、渡邉GMが描く勝負の3シーズン目(前編)「面白い試合をして若手が躍動することが昨季の京都には大事だった」
「失敗させてあげられる環境や勇気も私たちには必要」
――昨シーズンの具体的な戦いぶりについてもうかがわせてください。 昨シーズンも勝った試合もあれば取りこぼした試合もある中、経験のなさやメンタルの弱さといったネガティブな要素とともに、ポジティブな可能性も感じました。琉球ゴールデンキングスや宇都宮ブレックスといった上位チームに勝った試合は自分たちのやるべきことがしっかりと遂行できて、我慢もできた試合でした。 一方で負けた試合は我慢ができなかったり、選手本人たちのいろんな感情が入ったり、コーチ陣の問題などでうまく嚙み合わずもろさが出てしまった。そこから新たな課題がどんどん見えてきたという感じですね。そういった試合を重ねるにつれて私自身も「経験のある選手が必要かもしれない」「こういった選手がここのポジションに必要だな」「今いる選手が伸びるためにはどうしたらいいか」などと考えるようになりました。 ――そこから見えてきた課題が今シーズンのロスター編成に反映されている感じでしょうか? 自分の考え、ロイヘッドコーチの考え、クラブの考え、それぞれのバランスを取りながらですね。信頼関係が成立した状態で編成ができましたが、自分の考えや色を出すタイミングの重要性を思い知らされもしました。私は人の考えを尊重しすぎるところがあるので、自分の意見をもう少し押し通しても良いのかなと思いましたし、今シーズンは少しそこが出ているかなと思います。 ――渡邉GMは目先の結果よりもクラブの成熟や選手のキャリアを考えた発言が多いです。どのような経験からそのような言葉が出てくるのでしょうか? 今も学びながら生きていますが、現役時代の経験が大きいと思います。プロになった時に先輩やコーチに「ああしろ、こうしろ」と言われたものですが、この世界に入った選手ってある程度自分の考えもあるし、クセもあるし、個性もあるし、頑固なんですよね。人に言われても素直に受け入れることができず、自分で経験しないと動かないと言いますか。何かつらい経験をした時にやっと「自分の今までやってきたことは間違っていたし、甘かったし、もっと変わらなければダメだ」と方向転換ができます。だから、失敗させてあげられる環境や勇気も私たちには必要だと考えています。 GMになった時に、ただクラブを強化するだけではなく、関わる人に何か残してあげたいという思いがありました。だからロイヘッドコーチを連れてきました。選手たちには、彼とやることでいろいろな経験をしてほしいと思っていますし、実際に今、いろいろな出来事が起こっているところです。3年後、5年後、もしかしたら10年後かもしれませんが、彼らが「あの時こういう経験ができたことが大きかったな」と感じ、次の世代の選手にもそれを伝えてくれて初めて「GMをやって良かった」と思えるんじゃないかと思います。(後編へ続く)
ズッボン
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