追加緩和は米の利上げ次第?「後出しジャンケン」狙う日銀のシナリオとは
米国連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ、日銀の追加緩和は「6月に行われるのか、7月に行われるのか」と連日、話題になっています。 米国の利上げは、世界経済への影響がとりわけ大きく、世界中が注目しています。日銀もFRBの動きに注視しながら、政策の方向性を考えていることでしょう。今週15、16日と連日公表される日米の金融政策決定発表結果を市場関係者はどのように予想しているのでしょうか? また、どのような場合に、金融政策に動きがあらわれやすいのかを、第一生命経済研究所・主任エコノミストの藤代宏一さんが解説します。
今週は15日(水)に米国でFRBの連邦公開市場委員会(FOMC)、翌16日(木)には日銀の金融政策決定会合と連日で重要イベントがあります。結論を先取りすると、FRB、日銀ともに金融政策の現状維持を決定する可能性が高いでしょう。 本題に入る前に、日米の金融政策決定会合が連日で開催されることが「奇遇」であると感じたかもしれません。これは偶然ではなく、日銀が意図的に仕組んだ可能性が高いといわれています。米FOMCと日銀の金融政策決定会合の日程を比較すると、多くのケースで日銀の金融政策決定会合が数日遅れで開催となっています。これはFOMCの結果をみてから判断したい、という日銀の気持ちの表れでしょう(※スケジュールを公表したのも日銀の方が後でした)。
米の利上げは「見送り予想」多数
FRBは6月3日に発表された5月の雇用統計が驚くほど弱かったため利上げを見送ると予想されます。市場関係者の予想は“利上げなし”でほぼ一致しており、同時に金利先物から算出される利上げ確率も0.0%に低下しています(算出はブルームバーグ)。ちなみに5月雇用統計が発表される前の1、2週間は20-30%程度で推移していたので、5月雇用統計が決定打になったのは間違いありません。5月雇用統計は非農業部門雇用者数がわずか3.8万人の増加に留まり、市場予想の16.0万人増を大幅に下回るネガティブ・サプライズとなりました。手元の最新データがここまで弱い数字なら、利上げに踏み切る可能性は極めて低いでしょう。