50歳以降の転職や新ビジネスで必要なのは<自分を安売りする勇気>?藤原和博「思い切った選択がむしろ成功への近道に」
最近のアメリカではテクノロジー業界を中心に大規模な人員削減が起こり、リストラは今も続いていると言われます。そのようななか「会社に身を任せて生きていくのは危険。必要なのは、自分が勝てそうな<場所取り>をすること」と話すのは、リクルート社の初代フェローを経て教育改革実践家として活躍する藤原和博さん。今回は、藤原さんの新刊『どう生きる?――人生戦略としての「場所取り」の教科書』より「50歳以降の転職、新ビジネスで大切なこと」について紹介します。 【書影】「組織を離れてもメシが食える」生き方とは。藤原和博『どう生きる?――人生戦略としての「場所取り」の教科書』 * * * * * * * ◆50歳以降にネックになるもの 50歳以降に転職や新たなビジネスを始める時、ネックになるものがあります。 それは、収入です。 日本では未だ年功序列型の賃金体系を取っている会社が大半で、50歳ともなれば、それなりの収入を得ています。 そのため、会社をやめると収入が減るので、なかなか踏ん切りがつかない。 しかし、組織の外に出たら急に収入が減るということは、それが今のあなたのマーケットバリューなのです。
◆自分を安売りしてみる ここは、思い切って自分を安売りする勇気を持ちましょう。 安売りしなければならないということは、それだけ今の自分に有利な場から離れたところ(これまでの自分のスキルが活かせないところ)に転じること。 つまりは、思い切った選択となり、キャリアの掛け算のサプライズが実現できる場合が多いと思います。 むしろ、「キャリアの大三角形」の面積を大きくするチャンスなのです。
◆転職で年収が3分の1に 私が和田中学校の校長になった時、年収は3分の1になりました。 そうなることはわかっていましたし、納得していた。収入が激減しても、私はそれまでのキャリアの延長にはない仕事を取りに行ったのです。 あえて自分を安売りしたわけです。 転職するのに年収が激減するなんて、と思われるかもしれません。激増はともかく、激減はどうも……。 私はリクルートという民間企業でマネジメントをマスターしましたが、その武器が公教育や学校運営に通用するかどうか、見当がつきませんでした。 未知の世界に行くわけですから、自分のための「研修費」は自前で持つべきだ、と考えました。 そう、私は新たな1万時間をここで取りにいったのです。研修費を払ってでも、実地訓練をさせてもらおうと。 逆に、自分を高く売ろうとすると希少性が失われやすい。なぜなら、それは誰でも選択することだからです。 希少性を高めるためのチャンスを掴むには、「安売り」が功を奏するというわけです。
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