8年の時を経て復活! さらなる進化を遂げた感動の一皿
イカ墨のソースは、アンコウの骨、ワタリガニ、ムール貝、シジミ、アサリなど魚介を煮詰めた出汁にタイムやオレガノといったスパイスで香りを移し、全体のまとめ役としてサフランを最後に加えています。「アンコウに塩辛を塗ったので味に一体感を出すためにイカ墨を使いました」と古賀さん。冬の海のうまみを凝縮した一皿です。
メインは飛騨牛のロースト。付け合わせには赤ワインとコンソメで炊いて竹炭パン粉をまとわせた泥付きごぼうに根セロリのピューレとスライスしたトリュフ。ソースは煮詰めた鶏出汁とフォンドボーにすりおろした生山葵で香り付けしています。
牛肉は日本が誇る食材の一つと賞賛する古賀さんが使ったのは黒毛和牛の中でも脂の口溶けが抜群の「飛騨牛」。もともと60日間寝かせていますがさらに肉のうまみを上げるために、胡桃油を塗った肉を白ワインで洗い2時間程低温で加熱して香ばしさとうまみを上げた昆布で締めています。こうやって肉のポテンシャルをあげてから、赤ワイン、ルビーポルト酒、昆布出汁、ローストした玉ねぎのピューレ、蜂蜜で作ったソースをからめながら焼き上げました。元々のポテンシャルであったかのように感じさせる古賀さんのテクニックに言葉では言い尽くせない感動を覚えます。
古賀さんが作るのは素材感を味わう“ひき算の料理”ではなく、素材よりも素材らしくするために手を加えた“たし算の料理”。それらを組み合わせて一皿に構築しています。基本理念である“3つの和”はこのようにシェフの意図を皿の上で表現しながらコースのプロローグからエピローグまであらゆる美意識をもって完成された、まさに総合芸術なのです。
ここでしか味わえない食体験を!
料理を作るというより、どうしたら喜んでもらえるのか、これが古賀さんの料理の根源です。それは1996年から勤めた代官山「タブローズ」が影響しています。「あの時の店の活気、高揚感は忘れられません。今でもそれがレストランのあるべき姿であり、料理人としてそこを突き詰めていきたいと思っています。おいしい料理はもちろんのこと、サービスや雰囲気に毎回驚きや喜びがある、そんな店でありたい」と話します。