8年の時を経て復活! さらなる進化を遂げた感動の一皿
その上には野菜のピクルスと雲丹をのせて表面にはエディブルフラワーを敷き詰めました。口にすると凝縮された甘み、うまみ、酸味が次々と押し寄せた上に、苦みの少ないマイクロサイズのエディブルフラワーの香りとサクッとした食感がアクセントとなり、一瞬にして空腹が口福に変わります。まさか、米がこうなるとは! スターターとして申し分のない皿に胃袋をつかまれ、これから続く皿に期待度が高まります。
アミューズを挟み、前菜の1品目は「信州ゆめクジラ農園」の「カモミールニンジン」が主役の皿です。「この人参でなかったらこの皿は作らなかった。生で食べても火入れしても香りと食感が群を抜いていて、どんな調理法でも丸ごとすべてがおいしい、素晴らしい食材」と大絶賛!
この皿に描いたのは古賀さんが農園に行った時に見た情景。人参の皮をパウダー状にして練り込んだタルト生地に人参のムースを詰め、その上に乾燥させてパウダー状にした人参をツナの乾燥させたものとパン粉と合わせて振りかけ砂に見立てました。4種類の人参はオリーブオイルと塩でマリネしてスライスにしたものと、ゆっくりローストして熟成ビネグレットソースで味をつけたものを葉やエディブルフラワーとともに一つひとつピンセットを使い盛り付けます。こんなにも繊細で艶やかな皿に感嘆のため息がもれます。
「タルトの横に添えたものは一口で」と促され口に放り込んだのは、人参のピューレを大量のブラッドオレンジジュースでのばしてカカオバターでコーティングした、いわば「カカオバターボンボン」。中から液体があふれ出しおいしいやら驚くやらで思わず笑みがこぼれます。
前菜2品の後には魚料理。こちらはフレンチの定番料理である「ロッシーニ」のアンコウバージョン。アンコウの水分をうまみに変えたのはなんとイカの塩辛!
表面に塩辛を塗ってうまみをあげてからゆっくりとローストしています。
上にのせたあん肝はホワイトポルト酒でマリネして蒸し揚げてからカツレツに。パン粉ではなくカダイフを使い、表面はサクサク、中はとろ~り。香草とチーズを加え、香りとうまみまで閉じ込めました。付け合わせにはタルタルにしたモン・サン・ミッシェル産のムール貝と春菊のピューレにインゲンと豆苗とバラエティ豊かで飽きさせません。