帰ってきた天才ユーティリティープレーヤー。「ケガをする前よりも状態はいい」メイン平[リコーブラックラムズ東京/FB]
11月30日、横浜キヤノンイーグルスとのプレシーズンマッチ、メイン平は10番のジャージーを身に着けて先発出場を果たした。23日の東芝ブレイブルーパス東京戦はFBで出場。 「週のアタマに30日の試合はSOで、と言われて。ふだんはSOはやってないので、最初はちょっと緊張して動きも良くありませんでした。でも、いつもはWTBやFBをやっていて、15番がどういうコールをしたら10番がプレーしやすいかわかったので、いい経験になりました」 スピードを活かしたランでバックスラインを牽引。後半途中、御所実業でチームメイトだった同い年の青木拓己と交代、試合には14-48で敗れたが貴重な40分となった。 SOで試合に出場するのは、約4年ぶり。 「2020年の九電とのプレシーズンマッチで後半だけちょっとかじったくらいで、それ以降はSOをやった記憶はないですね。ほんと久しぶりです」 SOは中楠一期、伊藤耕太郎が日本代表遠征に呼ばれ、堀米航平、アイザック・ルーカスもいる。そんな中でSH以外ならどこでもこなすメイン平がSOに起用された。 「自分の中では15番が一番ポテンシャルを発揮できるのかなと思っていますけど、いろんなポジションをできるのも一つの強みだと思います。バックスのリザーブのことを考えたときにSOもできることに越したことはないので、10番の準備もしていこうと思っています」 ニュージーランド人の父と日本人の母を持ち、宮崎県で生まれた。4歳から地元の宮崎RSでラグビーを始めた。高校は奈良の御所実業に進学し、1年生からCTBでレギュラーをつかみ、花園でベスト4に進出した。2年生の春にはU18の日本代表に選ばれるなど、その高いポテンシャルは早くから評価されていた。 高校3年の冬、花園出場は逃したが高校日本代表に名を連ねた。高校卒業後、2年間のニュージーランドでの武者修行を経て、2020年にリコーブラックラムズの一員となる。 社会人1年目のシーズンは公式戦全試合に出場。リーグワン初年度の22年は11試合に出場し、その年に日本代表にも呼ばれ6月18日のウルグアイ戦で代表キャップを手にする。しかし、その年のシーズンは後半ケガで戦列を離れ、昨季はプレシーズンマッチで右ひざ前十字じん帯を断裂、公式戦は1試合もピッチに立つことができなかった。10か月のリハビリを経て、ようやくグラウンドに戻ってきた。 「ケガのときに時間があっていろいろと自分を見つめなおし、上半身のフィジカルの部分がもっと改善できるなと思い、上半身のトレーニングにけっこう時間を費やしました。今季プレシーズンで2試合プレーしたけどフィジカルの部分では手ごたえを感じていますし、ハムを鍛えたのでスピードも上がっており、状態としてはケガをする前よりもいいのかなと感じています」 リーグワン開幕まで3週間、順調な仕上がりに表情は明るい。 スピードに乗ってステップを切っても、右ひざに違和感もない。かつてのスピードも戻ってきた。 「代表を目指すうえでは複数のポジションができる選手が重宝されている傾向があるので、いろんなポジションができるのもアピールしたいし、自分の強みはランなので、そこで勝負したいと思います」と今季にかける思いを口にする。そして「やはり試合に出続けることが一番大事なので、しっかり試合に出るための自分の準備を怠らず、健康な状態でシーズンに臨みたいと思います」と続けた。 ようやくグラウンドに戻ってきた天才ユーティリティープレーヤー。スピードに乗ってピッチを駆け回るその雄姿を、ファンは待ち望んでいる。 【Profile】2000年9月5日生まれ。24歳。宮崎県出身。今季のリーグ登録ポジションはFB。SH以外はどこでもこなす万能BK。180㎝・91㎏。御所実業。日本代表(1キャップ)