愛ゆえに言ってしまう禁句 不登校の子をさらに追い詰める親の言葉
不登校の子にしてはいけない声掛け
──お子さんの不登校に悩む親御さんに、まず伝えたいことはありますか? はるか:親御さんの多くは、子どもの将来のためを思って、「これじゃ自立できない」「苦手なこともできるようにならないと」と「すべき」ことを先に伝えてしまいがちです。お子さんを思う気持ちを考えると、このような言及は自然なことだと思います。しかし、今自信を失っている子どもたちに「すべき」で追い討ちをかけても、なかなかやる気にならないどころか、むしろ子どもは自信を削がれ、無気力になっていきます。 親御さんは愛情たっぷりに、将来お子さんが幸せになるためにと一生懸命向き合ってるんですけど、それが逆に自己効力感を失わせてしまうんですね。 自己効力感は、自己決定、つまり自分で決めたことを達成することで育まれます。 自分のやりたい事、得意な事に沢山チャレンジして達成し、自信をつけていくことで、そこではじめて「苦手なことにも向き合おう」と思えるようになるんです。 また、子どもが自分で何かを「やりたい」と思うためには、まずはストレスの低い状態を目指すのが大切です。 不登校の子たちは、なんらかのきっかけで多くのストレスを抱えて休んでしまうことが多いです。そもそもがストレスを抱えた状態なのに、その上親からネガティブな声かけがあると、何かに挑戦しようという心理状態になれないんです。 あとは、コンプリメント(誉め言葉)を注いであげることも重要です。 コンプリメントは、スクールカウンセラーの森田直樹さんが提唱している、再登校に導く支援法です。 その子のできているところに注目し、さらに、「あなたがいるだけで嬉しい」という言葉をかけることで、子どもは自分の存在そのものを肯定的に感じられるようになります。 このようなアプローチを続けていくと、子どもの中に「頑張ってみよう」という気持ちが自然に芽生えてきます。 ──好きなこと=ゲームという子も多いと思うのですが、その場合はある程度制限したほうが良いのでしょうか。 はるか:依存性の高いものには、適切な制限を設けることが大切です。 好きだからといって、無制限にゲームをさせてしまうと、脳内のドーパミンが急激に上がったり下がったりして、やる気が起きなくなったり、生活リズムが乱れたりする可能性があります。 コツは、いきなり劇的な変化を求めないことです。10時間ゲームをしている子に突然2時間に制限するのは現実的ではないので、少しずつ、例えば1時間でも減らせれば成功と考えます。このスモールステップのアプローチが、持続可能な変化につながると思います。 ゲームを制限するというアプローチよりも、ゲーム以外の行動のレパートリーを増やすアプローチであれば、親子での対立も防ぎやすいです。勉強や読書、運動等その子に合った活動を見つけ、それができると良いことが起きるような仕組みを作ることもおすすめです。 「これができたら○ポイントね」と、ごほうび的なものでモチベーションを上げるのもいいと思います。 アドラー心理学ではごほうびによる動機づけには慎重な立場を取りますが、僕は初期段階での動機づけとして、ごほうびはアリだと考えています。 「自分はやれるんだ」という自信や感覚を育むことができれば、最終的にはごほうびに関係なく、自分の力で課題を乗り越える喜びを感じられるようになると思います。 (取材・文/nobico編集部)
福田遼(子育てのラジオ「Teacher Teacher」MC)