「T字継ぎ手」など大幅に長寿命化…阪大、線形摩擦接合で新技術
大阪大学の山下享介助教、藤井英俊教授、堤成一郎准教授らは、鉄骨構造物などで使われるT字継ぎ手や十字継ぎ手の疲労寿命を大幅に延ばす線形摩擦接合(LFW)の新技術を開発した。接合界面に排出されるバリが均一になるよう被接合材の摩擦のさせ方などを工夫し、国際溶接学会が定める疲労寿命を従来の数十倍―100倍に延ばした。橋梁(きょうりょう)などの長寿命化に貢献する成果で、5年以内の実用化を見込む。大阪府豊中市で開催中の日本鉄鋼協会秋季講演大会で20日発表する。 LFWは材料を溶かさずに接合できる固相接合技術の一つ。力を加えながら被接合材同士を摩擦させ、その際の摩擦熱を利用して接合させる。今回、T字や十字の継ぎ手を構成する長方形柱を繰り返し摩擦させて接合する際に、接合面の長辺方向に動かす従来方法をやめて、短辺方向に動かす方法に変えた。また力を加える方法に、接合を終わった直後に押し付け圧力を増加させ、バリの形状を最適化するプロセスを新たに加えた。 従来のLFWでは、T字や十字といった形状だとバリが不均一になりやすく、応力の集中する部分が疲労寿命を縮める大きな要因になっていた。今回の技術で接合界面にできるバリを均一化しつつ応力が集中する部分も除去でき、疲労寿命の長い高品質な接合が実現できる。 LFWは結晶構造の変化を伴わない、700度C以下の低温で接合できるため、低コストで高強度な品質の優れた接合体ができるなどの利点がある。T字や十字の継ぎ手の疲労寿命が大幅に延びれば用途が大きく広がりそうだ。