日経平均は9月下旬以降に再び下落する懸念、それでも中期での日本株の魅力は変わらない
次に、米国株と比較してバリュエーション(指標面からみた企業価値)は相対的に割安だ。米国株が下落する局面ではツレ安する可能性も高いが、その後は徐々に下げ渋り、上昇時の反発も大きくなる可能性がある。 確かに東京証券取引所の「PBR改革」の第1弾(PBR1倍割れ銘柄への事実上の改善通告)は終わったかもしれない。だが「資本効率の向上への改善要請への取り組み」は始まったばかりだ。 例えば、現在、セブン&アイ・ホールディングスが、カナダのアリマンタシォン・クシュタール(ACT)から買収提案を受けている。提案側は経済産業省が2023年に示した「望ましい買収かどうかは企業価値を高められるかどうかで判断する」という行動指針に沿ってセブンが行動すると考えて提案しているようだが、こうした難題をどう解決するのか。多くの経営者にとって、目が離せないはずだ。
少し時間はかかるかもしれないが、日本企業がアクティビスト等からの「資本コストや株価を意識した経営の改善提案」を受けずに、経営陣自らが変革して企業価値を上げていけるか。伸びしろが大きいだけに、引き続き期待したい。 (当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
糸島 孝俊 :株式ストラテジスト