日経平均は9月下旬以降に再び下落する懸念、それでも中期での日本株の魅力は変わらない
こうした中、日本株の先行きを考えるうえでは円高による輸出関連企業の業績下方修正リスクを考慮しなければならない。 10月下旬以降に本格化する企業の第2四半期(7~9月期)実績での悪影響は軽微とみるが、第3四半期(10~12月期)の会社予想やアナリスト予想は為替の前提が、1ドル=140円以下の円高になると、輸出関連企業の業績下方修正リスクの可能性が高まる。輸出関連企業の構成比が高い日経平均株価の上値は重くなるだろう。逆に日経平均株価よりも、TOPIX(東証株価指数)の中では比重が高い内需・輸入関連企業は相対的に優位になるだろう。
さらに11月5日のアメリカの大統領選挙の結果にも影響を受けそうだ。候補者2人の初の直接対決となったテレビ討論会(9月10日、ABC)では 民主党のカマラ・ハリス副大統領(59)が共和党のドナルド・トランプ候補(78)よりも優勢だったとの評価が多く、足元は次世代エネルギー関連株などの「ハリス・トレード」が続いている。 ただ、激戦州では接戦が続いており、まだ決め打ちはできない。10月1日の副大統領候補によるテレビ討論会も注視したい。投資家としては、どちらの候補が勝ってもいいような投資戦略を立て、柔軟に対応したい。なぜなら、物色対象(業種や個別銘柄)が大きく変わる可能性があるからだ。
もしトランプ氏が勝てば、法人税減税や規制緩和に積極的で、アメリカ景気・インフレの押し上げによるドル高円安が期待でき、対中強硬策によって、アジアの投資資金が日本にシフトされる可能性もあるかもしれない。さらに、ウクライナとロシアをめぐる情勢や、イスラエルとハマス(イラン)間の深刻な対立は、関係各国などによる停戦交渉への努力で落ち着きを取り戻すことができるのかも注意深く見守りたい。 ■中長期でみた日本株の魅力は不変
以上、今年の日経平均株価については最高値を再度上回ることはできず、目先は二番底のリスクがあることもお伝えしたが、重要なのは、中長期での日本株の魅力は不変だということだ。 為替が従来よりも円高に振れたことによって、このところ多くの市場関係者が、今後の相場に関しては「米国株式が優位で、日本株式が劣位だ」との見方が目立つようになってきた。だが、私は中長期で相対的に日本株が優位とみている。 その理由は主に以下の2つだ。まず、円高は中長期で日本株にとってプラスに働くとみている。なぜなら、普通は、弱い通貨の国の株式を中長期で保有したくないはずだからだ。