2024年下半期「必見の展覧会」5選
『開館55周年記念 舟越桂 森へ行く日』
開催期間:2024年7月26日(金)~11月4日(月・休) 開催場所:彫刻の森美術館 本館ギャラリー https://www.hakone-oam.or.jp/
3.『塩田千春 つながる私(アイ)』@大阪中之島美術館【9/14~12/1】
「生と死」という人間の根源的な問題に向き合い、「生きることとは何か」や「存在とは何か」を問い続ける塩田千春(1972年~)は、ベルリンを拠点としながら、世界各地の個展やグループ展などに参加して活躍する国際的なアーティストだ。 とりわけ場所や物に刻まれた人々の痕跡を「記憶」としてとらえ、それらを糸で編みこむことで「不在の中の存在」というテーマに向き合う無数の糸を張り巡らせたインスタレーションで知られている。その塩田が生まれ故郷の大阪にて16年ぶりに大規模な個展を開く。 大阪中之島美術館での『塩田千春 つながる私(アイ)』では、約1,700m²、天井高6mという広い空間を活かし、糸を使った大規模なインスタレーションを6点ほど公開(点数は予定)。さらに絵画、ドローイングや立体作品、映像など多様な手法を用いた作品によって、パンデミックを踏まえて否応無しに気づかされた他者との「つながり」に、3つの【アイ】-「私/I」、「目/EYE」、「愛/ai」を通じてアプローチしていく。帰る場所としての“Home”をあらわした家型の《家から家》をはじめ、「つながり」をテーマに人々から寄せられたテキストを糸によって編み込んだ新作の《The Eye of the Storm》にも期待が高まる。
『塩田千春 つながる私(アイ)』
開催期間:2024年9月14日(土)~12月1日(日) 開催場所:大阪中之島美術館 5階展示室 https://nakka-art.jp/exhibition-post/chiharu-shiota-2024/
4.『田中一村展 奄美の光 魂の絵画』@東京都美術館【9/19~12/1】
栃木県にて生まれ、東京美術学校(現・東京藝術大学)の日本画科を2ヶ月で退学した後、千葉で農業をしながら制作に従事した田中一村(1908~1977年)。日展、院展へと作品が相次いで落選すると、わずかな支援者を頼りながら制作を続けるも、50歳にて単身で奄美大島へ移住し、紬織の染色工として働きながら、奄美の自然や風土を題材にした日本画を制作していく。そして我が道を歩んで描き続けてきた作品は、生前ほとんど表立って公開されてこなかったものの、没後の1984年、NHKの「日曜美術館」で特集されたのを契機に注目を浴び、作品展が巡回するなどして人気を集めた。 東京都美術館にて開かれる『田中一村展 奄美の光 魂の絵画』では、絵画を中心にスケッチ、工芸品、資料を含めた250件を超える作品にて、今や伝説化した一村とは何だったのかに迫っていく。またいずれも奄美で描いた代表作《不喰芋と蘇鐵》と《アダンの海辺》をはじめ、未完の大作や近年発見された初公開作品も多く出品し、これまで知られてこなかった画業の軌跡もたどる。独自の絵を模索した一村は、「最後は東京で個展を開いて、絵の決着をつけたい」と述べたが、没後約45年を経て、回顧展として最大規模の集大成となる展覧会が上野の地にて開かれる。
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- 【写真】塩田千春 《家から家》 2022年 写真:Sunhi Mang ©JASPAR, Tokyo, 2024 and Chiharu Shiota
- 【写真】《アダンの海辺》 昭和44年(1969) 絹本着色 個人蔵 ©︎2024 Hiroshi Niiyama
- 【写真】アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《メイ・ミルトン》 1895年、リトグラフ/紙、三菱一号館美術館蔵