「算数が解ける子」はどんな力を持っている?10万人以上を指導した中学受験塾 SAPIXが教える、算数の力を伸ばす「センス」の身につけ方
「うちの子、とくに算数が苦手で……」「私自身、算数が苦手だから、子どもも嫌いになってしまうのでは……」など、親子ともに算数への苦手意識を持っている家庭もあるのではないでしょうか。教育ライターの佐藤智さんは、このような悩みの声を受けて、難関中学受験で高い合格実績を誇る塾「SAPIX小学部」で算数を担当する先生を取材しました。今回は、佐藤さんの著書『10万人以上を指導した中学受験塾 SAPIXだから知っている算数のできる子が家でやっていること』から、SAPIX流・算数を嫌いにさせないメソッドを一部ご紹介します。 【書影】進学塾が教える「算数力が勝手に伸びる」メソッドとは?佐藤智『10万人以上を指導した中学受験塾 SAPIXだから知っている算数のできる子が家でやっていること』 * * * * * * * ◆算数の力を伸ばすのに「数的センス」は必要? 数的センスのある子は、ほとんどいない 「数的センスがないから算数も数学も苦手です」 たまに、そんな発言を耳にすることがあります。 みなさんは「数的センス」という言葉に、どんなことをイメージするでしょうか? 難しい問題でも天啓を受けたようにひらめいて解いてしまうタイプの子をイメージするかもしれません。しかし、SAPIXに通う子どもたちの中でも、そうした子はほとんどいません。 では、算数が解ける子たちは、どんな力を持っているのでしょう。 突然ですが、「3は10の何倍ですか」と尋ねられたら、何と答えますか? みなさんならば、すぐに「0.3」と答えるはずです。 そのとき、3割る10を計算して「0.3」と答えましたか? たぶん、ほとんどの人は、計算せずにパパッと「0.3」だと思い至ったでしょう。 なぜ、計算もせずに答えを導きだせたのか。 それは、さまざまな経験が問題を解く「感覚(センス)」につながっているからです。算数では、この経験に基づく感覚が重要になってきます。
◆経験がセンスにつながる つまり、算数を解くために必要なのは、天啓を受けるような天才的な才能ではなく、経験を重ねて得た感覚です。 先程の「3は10の何倍ですか」という問いに対して、「0.3」とすぐに答えをだせたのは、たとえば「スーパーで3割引のお惣菜を買っていた」といった経験からきています。 買い物だけではありません。果汁30%のジュースは、どんな味がして、100%のジュースとの値段の違いはどの程度か。あるいは、重さ2トンのトラックの「2トン」とは自分が何人分の重さなのか、といった生活の中にある数字に興味を持つことが経験として蓄積されます。 生きていく中での、さまざまな経験が問題を解くセンスにつながっているのです。 もちろん机に向かう学習も必要ですが、それだけが「学び」ではありません。算数を解くセンスを磨くのは、問題集を解くことだけではないのです。 家具を買うときにサイズを測ったり、バスケットボールのシュート率を考えたりするなど、実体験をともなった理解があると、学びはどんどん骨太になっていきます。 体験は、頭で理解することだけでは得られない「センス」を身につけられるものになるのです。 Check! ・算数を解くセンスとは、経験に裏打ちされたもの ・生活の中で体験を通した数的センスを磨くことができる
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