【木村カエラさんインタビュー】デビューから20年、キッチンが歌詞制作の“基地”に
【Culture Navi】カルチャーナビ : 今月の人・今月の情報 デビューから20年、キッチンが歌詞制作の“基地”に──木村カエラさん
唯一無二のスタイルで、楽曲リリース、ライブなどアーティスト活動を続けてきた木村カエラさん。今年ついにデビュー20周年を迎える。 「子どもの頃から自分がいつか歌手としてデビューすると信じてはいたけど、追いかけてきた先輩アーティストを見ていて、20周年を迎えるのは簡単じゃないとも感じていたので。自分がその立場になって、やはりすごいことだと実感しています!」 20年という時間を経て、音楽への向き合い方にも変化が。 「歌うことは私の心の叫びで、デビュー当時は自分のために歌っていたのが、2009年に『Butterfly』をリリースしたあたりから“誰かのために歌えたら”という気持ちが芽生えてきたんです。さらに発展して今は、誰かのために歌うことが、私のためになるんだと考えるようになりました。歌い方もパンクやロックが好きだから叫ぶように歌って勢いがあればいいと思っていたのが、“もっとうまく歌いたい”とボイトレに通ったり、独学で研究したり。歌の表現の幅は、20年間で広がったと思います」 パワフルな歌声だけでなく、時には背中を押してくれたり、やさしく寄り添ってくれたりするカエラさんが書く歌詞も、楽曲の魅力のひとつ。 「デビューからずっと“心”について書いているのは変わらないです。歌詞を書くために、いつも心の行方について考えているからなのか、どんどんポジティブになって、物事をプラスにとらえられるようになりました。悪い言葉を発すると壁に跳ね返るみたいに自分に戻ってくるし、逆に魂がこもったいい言葉を発するとちゃんと叶う。言霊ってあると思ったんです。そういう発見がまた歌詞になっていくのがおもしろくて。心については追究し続けています」 歌詞のテーマは変わらないが、歌詞を書くスタイルは20年間で大きく変化。子育て中の母でもあるカエラさんが主に書く場所は、なんと自宅のキッチン! 「狙い目は夕飯の片付けが一段落して、子どもたちがまったり過ごしている時間ですね。キッチンに置いてあるパソコンをさっと取り出して作業します。電源もあるし、水やコーヒーもすぐ飲めるし、うちの場合、リビングにいる子どもから見えない位置だから“ママー!”って声をかけられることもなくて集中しやすいんです。今回のアルバムの歌詞もほとんどキッチンで書きました」 まさにキッチンが音楽制作のための“基地”のような場に! 「キッチンが基地!? 曲のタイトル候補としてメモしておきます(笑)」 カエラさんといえばアーティストデビュー前にモデルをしていたという経歴も。オリジナリティあふれるファッションは20年たっても健在! 「いかに安くてかわいいものを手に入れるかのこだわりも、買い物する場所もずっと同じ。好みも変わらないから服を処分できなくて。10年前に買って今も着てるものもあります」 お子さんたちも、カエラさんの服を着ることがよくあるそう。 「怖いのはヴィンテージもののダメージ加工デニムを学校に着ていこうとすること……。雲梯とかに引っかかって破れたら困るので“それはやめて!”と慌てて止めました(笑)。子どもたちがわたしのクローゼットから発掘してくる服が、お高めのものばかりなのはなぜなんでしょう!?」