「先生がんばって」生徒から励ましの声…東海大・桜美林大の労働組合がベア求め「スト通告」 大学側は“一部反論”も
東海大学と桜美林大学の教職員・非常勤講師らで作る労働組合が21日、記者会見を開き、大学側が賃金のベースアップ(ベア)の要求に応じない場合、来月ストライキを実施すると通告したことを明らかにした。 ストが行われる予定の東海大学湘南キャンパス スト通告をしたのは「東海大学教職員組合」と「桜美林大学ユニオン」。それぞれ大学に対し「職員・専任教員について10%、定期昇給のない非常勤講師は15%のベア」などを要求している。 組合によると、東海大では少なくとも過去十数年、桜美林大では2006年以降、非常勤講師のベアは行われていないという。 ストライキの実施予定はいずれも12月。労働組合は学生への影響を考え、授業前後の15~30分程度の時間で行うとしている。
「先生がんばって」生徒からの励ましも
東海大学教職員組合執行委員長の佐々木信吾氏は会見で、「団体交渉で大学側は、経営問題があるからベアに応じられないと言っています。しかし、東海大も桜美林大もどちらも経常利益は完全黒字で、東海大に至ってはここ数年間100億円以上の黒字を出しています」と指摘。 また、佐々木氏は教職を目指す学生が減少していることなども挙げ、「大学側が悪いというだけではなく、教職員・非常勤講師らがこれまで声を上げてこなかった“長年のつけ”もあると思う」と話し、行動を起こすことによって、将来的には、教職を目指す学生の減少に歯止めをかけたい狙いがあると説明した。 「どうしても学生に迷惑をかけるという意識があるため、われわれもストをするのは正直つらいです。しかし、実は学生や保護者も支持してくれていて驚いています。東海大ではこれまで2度ストを行っていますが、『先生がんばって』と声をかけてもらうことも多いです。それに背中を押される形で、将来の教育環境をせめて向上させるために頑張ろうと思っています」(佐々木氏)
15%ベア要求も…回答は「1.2%ベア」
桜美林大学ユニオン代表の槌田和美氏は、これまで大学側とベアを求め団体交渉を2度行ったというが、大学側の返答は「受け入れられるものではなかった」として、ストライキ実施を決めたと話す。具体的には、「専任講師10%、非常勤講師15%」というユニオン側のベア要求に対し、大学側が提示した回答は非常勤講師のベアが「1.2%」だったという。 同ユニオンの梅岡巳香氏は、非常勤講師の働き方が変化しているとして、以下のように訴えた。 「大学の非常勤講師のあり方というのは、たとえば30~40年前は、本務校を持った上で、他大学で授業するという先生が多くいて成り立っていたものですが、今は非常勤講師のみで収入を得ている人も大変増えてきています。 さらに、講師の仕事は単価的に見れば決して悪くはないのかもしれませんが、私どもは自分たちがたくさん働きたいと言っても、学校側からあなたはこれしか仕事がありませんよと言われることもあるわけです。その一方で、物価はどんどん上昇しています。その点でも、やはり大学には(ベアについて)考え直していただきたいと思っています」