「先生がんばって」生徒から励ましの声…東海大・桜美林大の労働組合がベア求め「スト通告」 大学側は“一部反論”も
日大三島高校では「要求受託」でスト中止へ
なお、会見には日大三島高校の教職員・非常勤講師らが作る「日大三島ユニオン」のメンバーも参加。日大三島高校では、一部の非常勤講師が、担当する授業コマ数を減らされたとして、次年度(2025年度)はコマ数を元に戻すよう要求し、東海大と桜美林大に先立ちスト通告をしていたが、学校側から要求受託の知らせがあったとして、ストライキは中止された。 これに対し、前出の佐々木氏は、日大三島高校を運営する日本大学の対応を高く評価した。 「スト通告には、ストをやるというゴールがあるわけではなく、通告から実施日までの間に、お互いに全体の利益を考え『どこで(話を)落とせるか』を労使ともに模索する期間があります。日大は今回、それを的確に生かしてくれた。使用者側の決断力が必要で、日大にはそれがちゃんと残っているということだと思います」
各大学側の主張
東海大に対し、編集部がストライキに対する見解を聞いたところ、書面で回答があった。 「本学と東海大学教職員組合との労使交渉の問題において、ストライキに発展したことについて学生、保護者並びに関係者の皆様にご心配をお掛けし、申し訳ございません。正当な態様でのストライキは労働者に認められた権利であり、本学としては適法にストライキが行われる限りは受け入れなければならないと考えております。しかしながら、東海大学教職員組合の要求事項は、厳しい財務状況の中でも本学が教員に対して実施した施策をご理解いただけていないものであり、実現は困難であると考えています」(原文ママ、以下同) さらに、「教職員の賃金については内部的なものであり公表しておりませんので、具体的な回答は差し控えさせていただきますが、一部報道にあるように十数年ベースアップがなされていないとの報道は事実とは異なり、今回ストライキを実施する非常勤教員2名を含め、2024年度から非常勤教員のコマ給を見直し約4%の増額を行っております。また、専任・特任教職員に対しても、2024年度に特別手当を支給しています」と労働組合側の一部の主張に反論した。 その上で、「教職員組合の主張も一定の理解はできますが、昨今の物価上昇、光熱水費の値上がりなど教育経費が上昇する中で、コマ単価の増額や特別手当の支給を行っていることに対し、ご理解を頂けていない点は大変残念です。本学としては、誠実かつ真摯に対応しているにも関わらず、教職員組合の強硬的な姿勢によりこのような事態に陥ったことを大変残念に思っており、教職員組合に書面にて、『本学は、適切な方法での団体交渉開催に向け、前向きな議論が行える体制になりましたら、改めてご連絡をください』とお伝えしており、引き続き前向きな議論が行える体制を望んでいます」と結んだ。 一方の桜美林大は、編集部の問い合わせに対し、大学ホームページ上の記事「町田キャンパスにおける授業のストライキ通告について」(https://www.obirin.jp/topics/year_2024/bi82pk00000002k9.html)を提示した。 以下、桜美林大学の公式コメントから一部抜粋する。 「同組合からは『専任教員・非常勤教員の賃金ベースアップ』、『授業閉講時手当額の算定方法の変更』を要求されておりますが、本年9月25日の団体交渉において、どちらの要求に対しても誠意をもって回答しました。また、本学の給与水準は他大学と比較しても低くない状況である点について説明しました。しかしながら、同組合からは、本学から示した給与のベースアップ額では不十分であるため再検討の要求がされました。 その後、本学では再度検討を行い、金額を上方修正して、本年10月16日に再回答しました。再回答の内容は同組合の要求するベースアップ率に及びませんが、全専任教員、非常勤教員の大幅なベースアップは授業料の値上げに直結する可能性もあり、学生や保護者に多大な影響が生じることにも配慮して、回答しております。 今回、同組合に所属する3名の非常勤教員がストライキを実行することは、学生の教育に大きな影響がある一方で、適法にストライキが行われる限り、学園として受け入れなければならないと考えています。 (中略) ストライキが実施された場合、今後、当該科目の履修学生には不利益が生じないよう、適切に対応してまいります。 学生、保護者の皆さまにはご迷惑をおかけいたしますが、本学は適切に対処してまいる所存ですので、何卒ご理解いただきますようお願いいたします。 なお、本学の教職員で組織されております桜美林学園教職員組合からも専任教職員および非常勤教員の賃金ベースアップが要求されておりましたが、学園の財務状況をご理解いただき、今年度の春闘ではベースアップはせずに、特別一時金の支給を非常勤教員を含む全教職員に行うということとしておりますことを合わせてお知らせいたします」
弁護士JP編集部