知的障害がある受刑者の社会復帰へ、社福が支える「長崎モデル」成果…7回服役の男性「もう戻りたくない」
法務省の中間報告によると、9月までにプログラムを受講して社会復帰した28人のうち、居住先を確保できたのは27人で、19人は仮釈放を認められて出所。居住先を確保した人(96・4%)と仮釈放で出所した人(67・9%)の割合は、22年の全国平均よりそれぞれ10ポイント以上高くなっており、「個別の特性に応じた処遇や多角的支援で、一定の成果が見られる」と評価している。
同刑務所の村上正剛所長は「対象者のほとんどが前向きに取り組み、福祉支援を受けて社会復帰を望む者が増えてきている」と手応えを語る。法務省矯正局の滝山直樹専門官は「課題も踏まえて全国的に広げていきたい。幅広いノウハウを持つ事業者は少ないが、プログラムごとに民間団体と協力していくなど方法を探っていければ」としている。
大阪、発達障害支援手厚く
法務省が20日に発表した「犯罪白書」によると、2023年の刑法犯の検挙者数は前年比8・2%増の18万3269人。このうち再犯が全体の47・0%を占める。刑務所に入所する受刑者のうち、入所が複数回となる割合も55・0%に上り、再犯防止が課題となっている。25年6月には、更生に向けて禁錮刑と懲役刑を一元化した「拘禁刑」も導入される。
障害のある受刑者については、大阪刑務所でも今月、発達障害への医療支援を充実させる取り組みが始まった。長崎刑務所の事業にも関わる日本福祉大の山崎康一郎准教授(社会福祉学)は「受刑者と刑務官が障害について、より深く考えるようになったことは大きな変化。刑務所にはこれまでの責任に加え、福祉の役割が強く求められている」と指摘している。