「インボイス事業者」にならないと損する職種があるってホント?いまさら聞けないインボイス制度の超基本
(1)本則課税(一般課税) (2)簡易課税 (3)2割特例 「本則課税」が経理事務的には圧倒的に大変で、売上と仕入れのあらゆる取引を詳細に記録し、「預かった消費税」と「仕入れや経費で払った消費税」を1円単位で計算して納付額を計算するものです。 専属の経理担当がいるか、税理士事務所に外注しないとまず無理ですね。無理というか、一人でやるなら本業に差し支えが出るので時間の無駄です。 郷:そんなに大変なんですね。
小山:はい。とくにデジタル化されているわけではないので、登録番号がかすれで読めなかったりしたら、いちいち確認しないといけないんですよ。本当に制度として破綻しています。 郷:現場の怒りが爆発してる(笑)。 小山:失礼(笑)。それで「簡易課税」と「2割特例」は、「預かった消費税」さえ把握できていれば、その数字に基づいて仕入税を一定税率で計算するので、作業的には大変ではありません。「簡易課税」は売上5000万円までの事業者が選択できるもので、業種によって「みなし仕入率」というものが決まっています。
たとえば小売業のみなし仕入率は80%。これはどういうことかというと、「あなたの商売では売上に対して80%が仕入れや経費とみなします。だから預かった消費税の20%だけ納付してください」という意味です。 ■みなし仕入率は業種によって異なる 郷:20%はどこからきたんですか? 小山:「100%-みなし仕入率80%」です。 郷:ああ、なるほど。 小山:「2割特例」は先ほど説明したインボイス制度導入にともなう期間限定(※)の措置で、業種を問わず、「預かった消費税の20%」を一律で納付することになります。
※2026年9月30日まで 郷:ということは……。 小山:簡易課税か2割特例かで選ぶ場合、卸売業なら簡易課税、それ以外の業種は2割特例がおすすめです。郷さんのブックライティング業はサービス業ですから、圧倒的に2割特例が有利ですよね。簡易課税だとみなし仕入率50%なので、預かった消費税の50%を納付しないといけませんが、2割特例なら20%でいいわけですから。 ■本則課税と簡易課税はどちらが得? 郷:なるほど! ちなみに本則課税と簡易課税のどちらが得という計算はできるんですか?