フィアット「500」のエンジンオイル増量の謎が解けた! オイルパンからはありえないモノが続々と…【週刊チンクエチェントVol.40】
ゴブジ号は“博物館のデモカー”としての初仕事
「プレミアムワールド・モーターフェア」は、いわば静岡版インポートカーショーのようなイベント。実は毎年、僕も声をかけていただいて会場でトークをさせていただいている。その年はイベント初の試みとして歴史的な名車たちを並べるコーナーを作ることになって、僕だけじゃなくてゴブジ号にも声がかかったのだ。主催の方は毎回イベントをもっと盛り上げていこうとあの手この手をお考えになる熱心な人。喜んで協力させていただこうと思って、チンクエチェント博物館の許可ももらった。ゴブジ号にとっては“博物館のデモカー”としての初仕事だ。 僕が10月15日にスティルベーシックを訪ねたのは、その日がツインメッセ静岡にゴブジ号を搬入することになっていたからで、ふたりの平井さんはそれに合わせてゴブジ号の修理を終わらせ、お願いもしてない部分のチェックまでしてくれている。ゴブジ号──と僕──は恵まれてるのだな、と実感する。
最終的にはエンジンを壊してしまう可能性があった……!?
そうそう、神戸往復のときに発生したトラブルの原因だ。オイルタンクの中のオイルパンが増えたように感じたのは──というか増えたのは、ガソリンが混入してたからだった。いわゆるキャブレターのオーバーフローだ。キャブレター内部の部品の不良もしくは不具合でガソリンが余分に供給されてしまい、それは大抵の場合は外側に漏れるのだけど、不具合の箇所によってはオイルパンなどにもたらされてしまうわけだ。ゴブジ号の場合は、細かく説明すると読んでいてめんどくさいだろうから超簡潔に述べると、キャブレターのニードルという部品に不具合が生じたために燃料がいわゆる常時タレ流し状態のようになって、結果、余分なガソリンがピストンの脇をすり抜けて落ちていき、オイルパンの中にたまっていく、という状態だったようだ。 まぁスティルベーシックがあっさり原因を特定して手を入れてくれたから、この先は安心。それはいい。問題は、オーバーフローしてることに僕がまったく気づいてなかったこと。たしかにサービスエリアでちょいちょい停まってオイルの量をチェックしたときに、ひょっとしてオイルそのものの粘度も低くなってるかも、と思ったことはあった。なのに、ガソリンが混入してオイルが希薄になり、シャビシャビになって粘度が落ち、ガソリンの脱脂効果で必要な油分を確保できなくなり、最終的にはエンジンを壊してしまう可能性があったことに思いが至らなかったのだ。 大元の原因は小指の先ほどもない小さなニードルのそのまた先っぽの数ミリの世界ではあるけれど、あのまま走り続けてエンジンを破損させてしまったら、それはもう僕自身による人災みたいなものじゃないか。40年以上もクルマを乗り回してきて一度もキャブレターのオーバーフローに見舞われたことがなかったから今ひとつ理解できていなかったのはたしかだけど、そんなのは言い訳に過ぎないし、オイルの匂いをかいでみたけどガソリン臭さは感じられなかった──というかガソリン臭いのがデフォだから気づかなかったのかも──というのも、同じく言い訳以外のナニモノでもない。反省と後悔、というのはそういうことなのだ。……落ち込む。
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