「がん」診断で突きつけられる現実… 「きれいな部分だけでなく裏の面を見ざるを得ないことも」 患者の人生をつなぐ「がん専門相談員」
■患者の願いに家族は 藤原さんの夫と娘「家で過ごせてよかった」
その知らせが、坂本さんの元に届いたのは秋のことだった。藤原さんが2023年10月5日に逝去。自宅で緩和ケアを受け始めて3カ月あまり。家族に看取られて迎えた最期だった。
「去年8月にフェスに行って、その時はちょっとした介助は必要だったんですけど、普通に動けていたので。何か特別な、例えば誕生日が楽しかったっていうよりも、日常が楽しかったです。入院していたらもう外出もできないので、思い思いに自分で過ごせた、家にいてくれて良かったと思います」(娘の和泉さん) 「一番本人が叶えたかったのは家で過ごすこと。ずっと寝たままでしたけど、それが叶えられたのは大きいかなと。その人にとって何が一番時間を過ごすのが有意義か、その人の最後の人生をどう過ごさせてあげれるのか。そういう道も今あるんであればぜひとも、頑張っているんでしょうけど、もっと広めてほしい」(夫の昴さん) 坂本さんにとって「がん専門相談員」とは――。 「必ず患者さんと出会った時には一回、真っ白な気持ちで、『まずあなたのことを教えて下さい』『あなたが何を大事にしているか直接お聞きしたいんで』って。そこに対話だったり、お医者さんや看護師さん、時には同じ体験をしたような患者仲間との出会いというものをつないでいく。それが私にとってはかけがえのない時間というか、自分の生き方みたいなことを真剣に考える機会があるんです。そんなふうに自分に向き合うことができる、人生を豊かにしてくれる。この仕事のこの魅力を(後進に)伝えることが、次の私の大きな宿題だと思っています」 (ABEMAドキュメンタリー『患者の人生をつなぐ~がん専門相談員』より)