なぜ日本の学校はつまらなくなったのか…ある日突然、娘が不登校になった親が明かす「人格無視の実態」
「学校がつまらない」娘が不登校に…
「娘が『学校がつまらない』と言って、不登校になっています。ずっと理由が分かりませんでしたが、学校に行って『そういうことか』と思ったのです」 【写真】子ども時代に「ディズニーランド」に行ったかどうか「意外すぎる格差」 都内在住の川上宏美さん(仮名、40代)の娘は、公立小学校に通う小学5年生。3年生の時から登校を渋るようになり、不登校気味だった。5年生の2学期になると、好きな図工と家庭科がある日以外は学校に行かなくなった。 宏美さんが忘れ物を届けようと学校に行った時に低学年の教室の前を通りがかると、女性の教員がイライラした様子で「そこっ!〇〇さんと〇〇さんっ!おしゃべりしないで前を向きなさい」と怒鳴っている。宏美さんが見る限り、クラスメイト同士ちょっと顔を合わせて笑った程度だった。子どもたちに何か作業をさせている間、教員が児童の様子を見回るが、腕組をしながら上から目線。まるで工場で検品しているかのような厳しい態度で子どもたちをチェックしていた。 高学年の教室がある廊下では、男性の教員が男子児童を教室から引きずり出して叱責していた。何か悪ふざけでもしていたのかもしれないが、宏美さんには「もっと違った指導ができないものか」と不快な気持ちが残った。 校庭でも教員が大声を張り上げて指示している。子どもたちが行進する姿や教員の号令によって一斉に動く姿は、まるで北朝鮮の軍隊のようだった。体操服はあっても赤白の体操帽子を忘れると、見学が強いられる。違うクラスの友達や、違う学年の兄弟姉妹に借りてはいけない学校内の「謎ルール」があり、この日も何人かが見学していた。 娘は胸の大きさが目立ってくると、体操服を着ることを嫌がり、体育を見学することが増えていた。白いシャツはズボンの中に入れて体育の授業を受けなければいけない。それも体型が目立つため嫌がり、体操服をズボンの外に出して授業を受けると教員から厳しく叱られ、体育を見学するよう命じられ、「反抗的だ」という烙印を押された。娘や同級生は腕や足の体毛が気になり始め、半ズボンへの抵抗感が強くなっていた。 宏美さんは体操服について学校と話し合い、学校指定以外の運動服や、胸や体型のラインが目立ちにくい紺色の体操服の着用を求めたが、「上着を巻き込んだら危険だ」「モラルが低下する」という理由で叶わず、納得がいかない。 「中学生なら長袖・長ズボンのジャージもある。大学生になれば市販の運動着でもいい。小学生だからといって、皆で同じ、昔ながらの白い半袖に紺の半ズボンを着る必要性が本当にあるのでしょうか。マット運動や鉄棒で服を巻き込む可能性があるのは分かります。そういう時だけズボンに入れれば済むのではないでしょうか。赤白帽子を忘れただけで見学というのは、教育を受ける権利を奪っているのではないか。友達同士で貸し借りして助け合ったり、代用を考えるというのも大事な教育なのではないか」 宏美さんには、そうした疑問が拭えない。「右へ倣え」の一斉指導が、子どもを息苦しくさせているとしか思えなかった。「だから、娘は学校に行きたがらないのだ」と。 筆者の取材からは、こうした教員の考える「枠」にあてはまらない子どもたちが排除され、傷つき、不登校になるケースが全国各地で散見される。教育現場が規格化・画一化されるあまり、子どもたちの人格が無視されてしまうのだ。