フランス人だって休日出勤する? それでも歴然と存在する「日本の職場との差」
フランス人だって、 仕事が残っていたらはたらく
フロリさん一家がバカンスから帰ってきた翌週、パスカルさんに「休暇はどうでしたか」と尋ねたら、「楽しく過ごせたけど、セドリックは少し仕事が残っていたのでバカンス先で対応していました」と聞いて、私は少し意外だなと思いました。 仕事と休日をセパレートするフランス式の考え方が染みついてしまっていたので、「フランス人も休日はたらくの?」と思わず聞いてしまいました。私の中では、「フランス人は、休みは何がなんでも絶対にはたらかない」くらいに思っていたからです。 するとパスカルさんは「それは仕事が残っていたり、時差の関係で海外のクライアントに夜中対応しなければいけなかったりするときは家でも仕事をしていますよ」と笑っていました。でも、その後の一言が印象的でした。 「もちろん仕事がないときは、休日だからはたらかないですよ」 「仕事がないときははたらかない」。当たり前ですが、これが日本人の習慣には徹底されていないような気がしました。もし土日が休みの会社だったら、日本人も最初は休日出勤をしたくないから、平日で仕事が終わるようにがんばるでしょうが、結局終わりそうにないと思うと、「休日出るか」となっていくことでしょう。 それを見ている職場の人たちが「あの人は仕事が溜まっていたら休日出てきてやってくれる人」という認識になっていき、周囲もお願いごとをするようになり、慢性的にそれくらいの業務量になり、休日出勤が習慣化されていくこともあるのではないかと思います。 また、はたらいている人の中にも「静かなときに、マイペースでやりたい」という人もいます。日中は打ち合わせがあったり、電話がかかってきたり、仕事を頼まれたり、相談を受けたりとなにかと自分の仕事が中断してしまうので、「残業代や休日出勤代は要らないから、せかされずにゆっくり自分のペースで仕事をしたい」という人です。こういう人は会社員時代、私の周りにもかなりいました。 でもそうした人が増えると、仕事が終わっている人も帰りづらくなり、また、休日出勤している人に対して罪悪感を覚える人も出てきてしまいます。結果、仕事がないのに付き合いの残業をしてしまう人が増えるのです。 また、朝、同じ時間に出社をするのは厳しく管理するけれど、帰る時間や休日出勤は、ばらばらなのを容認している職場は少なくありません。 すると、「ハイペースで仕事をしているのに作業量自体が多くて残業をしている人」と、「急げば定時で帰れるのに、マイペースに仕事をして同じように残っている人」との差がいつまでも見えてきません。もしあなたがしょっちゅう残業しているとしたら、それは何に問題があると思いますか? もしあなたの仕事が終わらないとすると、業務の振り方に問題があるのか、それともあなた個人の仕事のやり方に問題があるのかを検証しなければいけないのです。あなた1人の仕事のやり方を改善して残業がなくなるのなら、そのときはきちんと帰りましょう。けれど、もし自分1人だけではなく、チームとしてのやり方に問題があるようであれば、そちらを少しずつ変えていく必要があるでしょう。
パスカル・フロリ,セドリック・フロリ,前田康二郎(流創株式会社代表取締役)